ライブドア2004.5.30から再掲示。
奇想天外な冒険アクション小説。タイトルの意味は、訳のわからないことを尋ねられ、「そんなことを俺に聞かれてもわからない」ということ。
天才犯罪学者の忘れ形見が、父の教え子でもある12人の殺し屋(彼らの殺し方が変わってる)を一人ずつ抹殺していく話だ。
自動車泥棒や女壺振り、謎の美女が手下になって、殺し屋を見つけ出し、主人公が自分を殺してくれと依頼し、相手が得意の凶器を出したところで、逆に早業で倒してしまう。
途中だれたところもあったが、宿敵・人口調整委員会が出てきてからは、話に勢いが付いて、夜更かししてしまった。新宿東口を舞台にした話であり、生まれる前に書かれたものだが、意外なほど古さも感じず、違和感はなかった。新宿東口って今と変わってないのだ。
都筑道夫は「蜃気楼博士」(NHK少年ドラマシリーズ)などジュブナイル探偵小説で有名だが、本職はアクション小説だ。「エラリイ・クイーン・マガジン」の編集者時代に、イアン・フレミングの007シリーズを日本に紹介したのがこの人である。そういう類の冒険小説(本人は「大人の紙芝居」と呼ぶ)を日本語で創造してみたかった、と言っている。
岡本喜八監督・仲代達也主演で67年に「殺人狂時代」として映画化されており、封切り時は動員観客数の最低記録を書き換えるほど不入りだったが、二番館に移ってから、カルトムービーとして認められ、長く上映が続いたようだ。現在はビデオで見ることが出来る。
都筑道夫 「なめくじに聞いてみろ」 1962 扶桑社文庫