ニコス・カザンツァキスの同名小説をマイケル・カコヤニスが脚色・製作・監督した文芸ドラマ。撮影はウォルター・ラサリー。
主演はアンソニー・クイン、アラン・ベイツ。
共演はイレーネ・パパス、リラ・ケドロバ(この作品でアカデミー助演女優賞を受賞) 、ジョージ・ファウンダス。
白黒映画で、アカデミー賞を3部門で受賞した。
あらすじ
奥手な性格の英国作家バジルはスランプに陥り、父の遺産である鉱山が放置されているクレタ島に行こうとしている。
バジルは、船着場で船を待っている最中ゾルバ という老ギリシャ人と知り合い、性格は全く反対だったが、何故か気に入る。炭鉱の経験があると言うので亜炭鉱山整備の現場監督にした。ゾルバはバジルの使用人になるが、歌や踊りを雇用主の前で披露しないと宣言する。
島に到着し、2人は村に到着する。来たばかりの彼らはマダム・ホーテンスの経営するホテルにしばらく休む。マダム・ホーテンスはクレタ島が革命を起こしたとき、愛人である提督に連れられフランスから来島し戦争が終わっても居残っていると言う。
その村には美しい未亡人がいた。炭鉱を管理してくれた男には息子パブロがいたが、彼も未亡人を想っていた。しかし村の男に、プライドの高い未亡人は目もくれなかった。バジルはそんな彼女に心曳かれる。
ゾルバは掘ってもすぐ崩れる炭鉱の弱さに悩まされていた。補強するための木材なら修道院の所有する山に生えているのだ。ゾルバは修道士たちと親しくなり、材木を切り出して出荷する約束を取り付けた。その代わり一部の材木を炭鉱用に使わせてもらう。切り出した木材は山からケーブルで麓に下ろすのだ。
その頃にはホテルを出て掘っ立て小屋でバジルとゾルバは共同生活をしていた。クリスマスの夜、ホーテンス夫人のホテルでささやかなクリスマスを祝う。しかし飲み過ぎたホーテンス夫人は倒れてしまう。重い持病を患っているようだ。
ゾルバは島の中心部にケーブルに必要な機材を買いに行く。バジルは5日の約束で帰ってこいと言うが、ゾルバから来る手紙は踊子ローラとの惚気ばかり書いてあった。
バジルは当てられて、未亡人の家を訪ね、そのまま朝まで過ごす。しかし未亡人の行動は村の男に筒抜けで、パブロも知ってしまう。悲しんだパブロは海で自殺してしまう。
村の実力者であるパブロの父は未亡人を憎んだ。パブロの葬儀の日に町中の男が石礫を未亡人に投げた。帰ってきたゾルバが仲裁に入るが、パブロの父は彼女を刺し殺してしまう。
春先にゾルバはバジルを連れてホーテンス夫人の病床にかけつけた。ホテルの外では村人たちは彼女の死を今か今かと待ち構えた。この村では、受け継ぐ身内のない死者の物を勝手に持って帰って良いと言う風習があった。やがて彼女はゾルバの腕の中で息をひきとる。途端に村人たちがやって来て、全てを持ち去った・・・。
雑感
マイケル・カコヤニス監督によると、原作者ニコス・カザンツァキスはノーベル文学賞こそ受賞しなかったが、ギリシャでも人気のある大作家だそうだ。映画化を了承したが、撮影の直前に亡くなった。この原作はミュージカルにも成っている。
ギリシャ人(クレタ人)の明るさと、陰険さ、忘れっぽさ、激しい復讐心が描かれた作品だ。これを通して映画の主人公は大人になっていく。おそらく英国に帰っても、小説のネタに困ることはないだろう。
メリナ・メルクーリが主役を演ずるギリシャ映画「日曜はだめよ」は有名だが、これもギリシャを代表する作品だ。
ただゾルバを演じるのが、メキシコ系のアンソニー・クインというのは少しだけ残念。
ギリシャ人男優で国際的に活躍してる人が当時はいなかったのかな。
アラン・ベイツが奥手という設定には無理があるw。
スタッフ
製作、監督、脚本 マイケル・カコヤニス
原作 ニコス・カザンツァキス
撮影 ウォルター・ラサリー (アカデミー白黒撮影賞受賞)
音楽 ミキス・テオドラキス
美術 バジリス・フォトプロス (アカデミー白黒美術賞受賞)
キャスト
ゾルバ アンソニー・クイン
バジル アラン・ベイツ
未亡人 イレーネ・パパス
ホーテンス夫人 リラ・ケドローヴァ (アカデミー助演女優賞受賞)
管理人マブランドニ ジョージ・ファウンダス
踊り子ローラ エレニ・アノウサキ
ミミトス ソティリス・ムスタカス
マノラコス タキス・エマニュエル
管理人の息子パブロ ジョージ・ボヤディス
エキストラ クレタ島の人々
***
ケーブルの工事ができあがると、その試運転が行なわれ、村人や修道士が集まった。ところが猛スピードで木材が山の頂上から降りてきたので、木材が飛び出しケーブル設備が崩壊してしまう。村人たちは逃げ出してしまう。
バジルはもう財産を使い果たしてしまう。また英国に戻って、作家活動に戻るつもりだ。バジルは海辺で最後にゾルバにギリシャ人のダンスを教えてくれと頼む。ゾルバは喜んで、バジルと共に踊った。