元ガイアナ(旧英領ギアナ)国連大使E・R・ブレイスウエイトが英国で教師として働いていた頃を描いた自伝小説をジェームズ・クラベルが製作・脚色・監督した学園映画。製作総指揮にジョン・R・スローン。
主演はシドニー・ポワチエ、共演はクリスチャン・ロバーツ、ジュディ・ギーソン、スージー・ケンドール、ルル。カラー映画。
あらすじ
英領ギニアから英国にやって来た黒人マーク・サッカレーはエンジニアだったが、人員整理されたため転職して貧困地区の学校教師になった。サッカレーは、最終学年の学生たちのクラスを担任することになった。子供たちは、全く勉強する気がなかった。
しかしサッカレーは、生徒たちの不良行動が環境のせいだと知っていた。彼は、生徒たちに自尊心、責任感などを教えこむために、彼らを一人の紳士淑女として扱い、積極的に校外学習に連れ出した。
この教育方法は、少しづつ効果をあらわした。サッカレーは生徒たちに愛されるようになった。ところが、他の体育教師が、太った生徒に飛び箱を飛ばせて重傷を負わせた。それ以来、サッカレーは体育教師側に付いたと思われ、男子学生のリーダーであるデンナムとの間に緊張が走った。恒例になって生徒も楽しみにしていた校外学習も中止となる・・・。
雑感
実話の映画化であり、このサッカレー先生が後に英国から独立した南米の小国ガイアナの国連大使になる。
彼は、伏見工をモデルにしたテレビドラマ「スクール・ウォーズ」のような熱血先生でなく、包容力を持って学生を一人の大人として扱うタイプの教師だ。彼のやったことは、上流階級の使用人になるための話し方教室なのだ。しかし彼は、肉体的タフさも兼ね備えている。
イギリスの凄い点は、階級差別がいまだに残っているのに、黒人に対する考え方が進んでいて、50年代から黒人教師や黒人医師が普通にいたことだ。
今ではアメリカに住んでいる黒人の方が出世しやすくなったのだろうが、それでも頑迷な米国南部よりはマシだと思う。
この映画の同名主題歌は、出演しているスコットランド歌手のルルによって歌われて、英国で五週間売り上げトップに立ち、1967年全英年間ビルボード第一位となった。
スタッフ
製作総指揮 ジョン・R・スローン
製作、監督、脚本 ジェームズ・クラベル
原作 E・R・ブレイスウエイト
撮影 ポール・ビーソン
音楽 ロン・グレイナー
キャスト
サッカリー教師 シドニー・ポワチエ
デンナム(不良) クリスチャン・ロバーツ
パメラ(教師) ジュディ・ギーソン
ジリアン(女学生) スージー・ケンドール
エヴァンス(教師) フェイス・ブルック
ウェストン ジェフリー・ベイルドン
モリア・ジャクソン エイドリアン・ポスタ
フロリアン エドワード・バーンナム
バーバラ・ペッグ(女学生) ルル
***
サッカレイは体育を代わって担当したが、デンハムにボクシングの挑戦をうけた。ところがサッカレイは、デンハムをノックアウトしてしまった。この一件がきっかけとなってサッカレーと生徒たちの間に再び絆が戻る。
しかし、自分の教育方針が失敗したのではないかと不安に思ったサッカレーは、ラジオ会社の就職試験を受けて合格した。卒業式がやって来て、ダンス・パーティーで生徒たちは、立派な大人になった姿を見せてくれた。そして生徒たちから贈られたプレゼントに添えられたカードのメッセージ「先生に、愛をこめて」を読んで、サッカリーは泣いた。
そこに下の学年の不良カップルが来年のクラスを下見に入ってきた。如何にも礼儀作法が身についていない子供たちで、サッカレーはもう一年教師を続ける覚悟が決まる。