1962年のレコード大賞は、橋幸夫と吉永小百合がデュエットを組んで吉田正サウンドを歌う「いつでも夢を」に決まった。
9月発売だったから、消費者への売上よりも販売店への売上が凄いことになったのだ。若者や自称若者がこぞって予約したのだろう。
大ヒット間違い無しという確信を持っていた日活は対象が発表される前から、いち早く橋幸夫の予定を抑え正月映画に据えていた。
映画は「キューポラのある街」の続編のようなところがある。
昼は働きながら定時制高校四年に通っているアベック(吉永、浜田)の就職問題に、橋幸夫演ずるトラックの運ちゃんが触媒のように絡んで、青春の階段を一歩進む話だ。
橋幸夫の演技はまだ棒だったけれど、意外と橋幸夫の同僚役野呂圭介が良い味を出していた。
Synopsis:
定時制高校へ通いながら工場で働いている勝利と、義父の診療所を手伝う準看護婦ひかるは幼馴染。勝利はいつも「卒業したら、サラリーマンになる」が 口癖だ。
彼らは工場の配送を担当している運転手の留次と知り合う。留次はヒカルの優しさに惹かれて、勝利に正々堂々ひかるをかけての恋の勝負を申し込み、勝利も受けて立つ。
勝利は希望の大企業東洋物産を受験した。試験もまずまずだ。教師も太鼓判を押してくれた。そんなとき留次は、母親が田舎から出てきたので相手をしてほしいと言う。自分は仕事で行けないというのだ。仕方なしに二人はデートを諦めて東京見物に連れて行く。
勝利が家に帰ると不採用通知が来ていた。あまりにも彼はショックで引きこもってしまう。担任教師が不採用理由を尋ねに会社へ行くと、定時制高校卒は世間ズレしてるからダメだという役員がいると言う。
ひかると留次は彼を慰めようと、色々やるが勝利はますますいじけるだけだった。そこへ長年家を出ていた父が交通事故に遭ったという知らせが来た。病院へ急ぐと、久しぶりに見る父は小さくなっていた。足には障害が一生残り、まともに働けないそうだ。それを見て勝利は踏ん切りがついた。今の工場で残業でも何でもやってやる。扶養家族が増えたのだから。
監督 野村孝
脚本 下飯坂菊馬、田坂啓、吉田憲二
音楽 吉田正
撮影 横山実
出演
橋幸夫 (運転手留次)
吉永小百合 (ひかる)
浜田光夫 (勝利)
松原智恵子 (病に倒れる薄幸の同級生秋子)
信欣三 (医師、ひかるの義父)
内藤武敏 (担任)
織田政雄 (勝利の父)
初井言栄 (勝利の母)
中村好郎 (勝利の弟)
飯田蝶子 (留次の母)
野呂圭介 (留次の相棒)
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