黒澤明が脚本を書いていることで有名な映画だ。
監督は弟子の堀川弘道
主人公鮎太は三世代の俳優が演じている。

明日はなろう。檜になろう。
その言葉を大学生から教えられた、鮎太が、三人の魅力的な女性と出会い、ほろ苦い別れを経験して成長する。

第一部は鮎太12歳である。
久保賢こと後の山内賢もまだ12歳だが、さすがに久保明の実弟である。
見事な演技だ。子供離れしている。
不良娘の岡田茉莉子も個性的でいい。
目を吊り上げて、岡崎京子の少女マンガに出てくるようなタイプだ。
彼女と交際する木村功は肺病だそうで、弱々しい男で最後は心中してしまう。
幼い鮎太には、この事件が大きな影を落とす。
第二部。
3年後、鮎太(鹿島信哉)は祖母が死に、寺にもらわれる。
そこで活発な雪枝(根岸明美)と出会い、スポーツを勧められる。
鮎太はめきめき体が丈夫になる。
ある夜、雪枝を誘う怪しい男を先回りして、やっつけてしまう。
第三部。
また3年後、鮎太(久保明)は下宿に入る。
女主人(村瀬幸子)、美しい娘(久我美子)、お手伝い(浦辺粂子)の三人が面倒を見てくれた。
娘は鮎太に気があるそぶりをする。
しかし、同居人の竹内(高原駿男)は彼女に騙されるなと言う。
ある日鮎太は、道で娘に出会い、思いの丈を見せたくて、高いところから飛び降りる。
彼女は心配してくれたが、その夜下宿から出ていってほしいと言う・・・

三人のヒロインの中では、やはり演技力で岡田茉莉子に軍配をあげる。
しかし、日劇ダンシングチーム出身根岸明美も、フラッパーな役や嫌みな姉妹役が多かったが、雪枝のようなノーマルなヒロインもできたのだ。
これには感動した。
彼女に鍛えられたら、鮎太もしっかりするだろうなあ。
監督 : 堀川弘通
製作 : 田中友幸
原作 : 井上靖(自伝的小説である。)
脚本 : 黒澤明
撮影 : 山崎一雄
音楽 : 早坂文雄
キャスト(役名)
久保賢(のちの山内賢) (主人公鮎太(十二歳))
岡田茉莉子 (祖母の妹の娘冴子)
木村功 (大学生加島)
三好栄子 (鮎太の祖母)
鹿島信哉 (鮎太(十五歳))
根岸明美 (住職の娘雪枝)
小堀誠 (住職)
久保明 (鮎太(十八歳))
久我美子 (下宿のお嬢さん玲子)
高原駿雄 (プータロー竹内)
小山田宗徳 (中尉木原)
太刀川洋一 (医師江見)
金子信雄 (中学教師佐山)
村瀬幸子 (下宿の女主人)
浦辺粂子 (下宿の下働きとみ)

あすなろ物語 1955 東宝

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