中堅企業で社長が急死して、後継者が決まるまでの24時間を描く群像劇

ジョン・ハウスマンが製作し、キャメロン・ホーリーの原作企業小説を「麗しのサブリナ」のアーネスト・リーマンが脚色しロバート・ワイズが監督した。

主演はウィリアム・ホールデン、ジューン・アリスン、フレデリック・マーチ
共演はウォルター・ピジョン、バーバラ・スタンウィック、ニナ・フォッシュ、ポール・ダグラス、ディーン・ジャガー等。
白黒映画。

あらすじ

家具メーカーであるトレッドウェイ株式会社のブラード社長が、金曜日午後にニューヨークにいる社外重役ジョージを訪問した直後、突然死する。株価の暴落を見越すジョージは、インサイダーに当たるので証券マンの名前で空売りして月曜朝イチで買い戻す算段だ。
金曜日の夜になり、明日の朝刊に死亡記事が掲載されることがわかる。次期社長の座を強く望む監査役ショーは株価対策として、すかさず今期増収増益見込を発表し、葬儀予定とともに新聞に書かせる。彼は、金融機関から迎えられた会計士で財務分析に長けていて次期社長を狙っていた。社長が亡くなった現在重役会は七人の重役から成る。過半数の四票を取れば社長になれる。
ジョージは、トレッドウェイ社に行き、ショーに空売りしたので何とかして欲しいと泣き付く。また連絡の取れない営業担当役員ジョシュアが秘書エヴァの部屋で浮気しているのに気付き、現場を押さえる。ジョシュアは、ショーに頭が上がらなくなった。さらに創業者の一人娘ジュリアは、死んだ社長を片想いしてオールドミスになってしまったが、経営に関心がなく、ショーに委任する。これで、ショーは社長の座を確実なものにした。

経理担当役員のフレッドと、デザイン開発担当役員のマクドナルドは、ショウの合理主義を嫌っていた。製造担当役員のジェシーはこれを機に引退するつもりで、重役会には欠席する予定だ。

マクドナルドは、最年長のジョシュアを社長にすべきだと考えるが、ジョシュアは辞退する。最近のコストカット政策の結果、会社が安物を大量生産している現状を嘆いているベテラン工員の声を聞き、新しい技術を利用した新デザインに移行する時期である。コストカッターには、今の会社を任せられない。それには、自分が社長になるしかない。しかし大勢はショーに傾いていた・・・。

雑感

ヴェネチア国際映画祭で、主役級の17名が優れた集団演技を見せたとして特別審査員賞を受賞した作品だ。社長秘書役を演じたニナ・フォックが、アメリカ映画批評会議賞(NBR)の初代助演女優賞を受賞した。

ロバート・ワイズ監督は、地味なテーマに豪華な俳優陣を使いながら、舞台劇にような脚本を使って短い撮影期間(1ヶ月)に抑えた。それでも予算段階で130万ドルかかったようだ。1950年代の「半沢直樹」と言ったところだ。
でも女性客が観にくるわけでなく、国際的にも米国会社法のルールが独特なものであるために、さほどの利益をあげたとは思えない。
それでも株式公開会社が前社長の強力なリーダーシップによる独裁支配から、役員会のガヴァナビリティ(統治能力)により議論と議決という手段を使って新たな発展の道を選ぶという姿を描くことに当時は、意義があったのだろう。
ただし、原価管理(コストカッター)と技術革新(イノベーション)による新製品開発が両立するのは、今でも難しい問題である。IT産業のようなイノベーションが続いている産業では可能だが、今の家具産業ではかなり難しくなっている。大塚家具の女社長も、それが出来ればクビにはならなかったのだが。

俳優の中では、ジューン・アリスンが軽い役ながら、存在感を示した。ジューンは、大ヒットした「グレン・ミラー物語」の次回作にあたり、演技力に深みをましてきた頃だ。
バーバラ・スタンウィックは、一週間の撮影期間で上がったそうだ。独身を続けてまで片想いした社長を亡くした彼女演ずるジュリアは、持株を処分しようとしていた。最も若い重役マクドナルドが社長になりたいので支援してほしいと言ったのを初めは馬鹿にしていたが、次第に彼に興味を持つようになり、トレッドウェイという先祖伝来の会社に誇りを見いだす様子を、バーバラの見事な演技力で演じていた。
最後にディーン・ジャガーが演じたジェシー役が、一番難しかったのではないか。出番も台詞も心情表現も少ないが、状況から工場現場のジェシーと開発のマクドナルドの間に衝突があったことがわかる。そんな彼も社内抗争や人員整理で疲れ果て、会社を去ろうとするが、マクドナルドの演説に心を打たれて再び現場に戻ろうとする。

スタッフ

監督  ロバート・ワイズ
製作  ジョン・ハウスマン、ジャド・キンバーグ
脚色  アーネスト・リーマン
原作  キャメロン・ホーリイ
撮影  ジョージ・J・フォルシー

 

キャスト

マクドナルド(ドン)・ウォーリング(デザイン担当役員)  ウィリアム・ホールデン
妻メアリー・ウォーリング  ジューン・アリソン
ジュリア・O・トレッドウェイ(創業者の娘)  バーバラ・スタンウィック
ローレン・ショー(金融担当役員)  フレドリック・マーチ
フレデリック・Y・オルダーソン(経理担当役員)  ウォルター・ピジョン
ジョシア・ダドリー(営業担当役員)  ポール・ダグラス
ジョージ・キャズウェル(社外重役)  ルイス・カルハーン
ジェシー・Q・グリム(製造担当役員)  ディーン・ジャガー
エリカ・マーティン(社長秘書)  ニナ・フォッシュ
エヴァ・バーデマン(ジョシアの秘書)  シェリー・ウィンタース
マイク・ウォーリング  ティモシー・コンシデン
ビル・ランディーン  ウィリアム・フィップス
キャズウェル夫人  ルシル・ノック
ジュリアス・スティーゲル  メアリー・アダムス
エディス・オルダーソン夫人  エドガー・スティーリ
サラ・グリム夫人  ヴァージニア・ブリサック
エド・ベネディック  ハリー・シャノン

 

***

ジョシュアは、ジェシーを出席させるために説得して間に合わない。二人が欠けたまま、重役会が開始された。ジェシーがショーを推薦した。誰も意を唱えず、決が取られた。ところが、ジュリアが白票にしたため、ショーは過半数を取れなかった。ひとまず休憩時間となった。
マクドナルドの妻メアリーが会社を訪れた。彼女は、ジョシュアが「自分が帰るまで決議をするな」と言っていたと夫に伝えた。実は、彼女が電話をもらってからかなりの時間が経っていた。彼女は、夫に家庭をかえりみない社長になって欲しくないので、伝えるべきか迷ったのだ。

休憩時間が終わり、フレッドとジェシーが加わり七人が揃った。製造担当役員のジェシーは、人材整理でショーに協力したが、マクドナルドと対立し、仕事に対する興味を失いかけていた。マクドナルドは、発言で製造原価サイドから死んだ社長の功罪を挙げた。
「低所得層でもレッドウェイの家具を手に入れられる低価格路線は間違っていない。しかし質の悪い品物を売って社の信用を落とし、工員のモラルも下がっている。今や技術革新で新たに開発した新製品を同じ価格帯で販売することができるし、我々も誇りを取り戻せる」。
その言葉は、重役の心を打った。そしてジェシーもショーもマクドナルドを推したため、満場一致で彼は新社長に選ばれた。

重役室 Executive Suite (1954) MGM製作・配給 企業群像劇の名作

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