ルーク・ショートの原作を、ダドリー・ニコルズが脚色し、マイケル・カーティズが監督した西部劇
主演はロバート・テイラー、共演はフェス・パーカー、ティナ・ルイーズ、ジャック・ロード
白黒映画。アメリカ、日本ともに公開は1959年。

あらすじ

連邦保安官補ボバードは、容疑者を地獄の果てまで追い詰めるため「ハングマン」というアダ名がついていた。
強盗殺人犯を一網打尽にせんとするボバードの次なるターゲットは、強盗団最後の一人になったジョニー・バダーフィールド。彼がノース・クリークにいるという。彼の仲間はすでに捕り、ただ一人残っていた男の処刑も近い。この男が生きている間にボヴァードがバターフィールドを捕まえなければ、誰も奴の有罪を証明できなくなる。

ボヴァードは、ジョニーの友人だった洗濯女シーラに、五百ドル払うからノース・クリークまで同行して証人になってくれと頼んだ。騎兵隊の同僚だった夫が亡くなったときにジョニーによくしてもらった彼女が渋った。そこでボヴァードは、駅馬車の切符を一枚残してノース・クリークに向けて出発した。
ノース・クリークの主たる産業は運送業で、街の真ん中に大きな運送会社の倉庫があった。ノース・クリークの保安官は、ウェストンという若い男で、ボバードに忠誠を誓った。
ボバードは町の広場でジョニーに似た男をみつけた。ウェストンによると、彼はジョニー・ビショップと名乗っているそうだ。運送会社で働いているが、最も評判がよく、腕っ節も強くて人気者だった。

一日遅れてシーラがノース・クリークに現れた。行くべきか迷っていたのだ。ボヴァードはシーラを遠巻きにしてジョニーの首実検をさせた。彼女は彼がバターフィールドではないと、ボバードに言った。しかしボヴァードは信じられなかったので明日改めて間近でシーラに顔を見せることにした。
一緒に食事をしていると、シーラの見窄らしい姿にホテルの客が笑ったので、ドレスを新調して来いと言ってボヴァードはポケット・マネーを渡した。

その夜、シーラは秘かにビジョップ家を訪ねた。やはりビショップが、バダーフィールドだった。彼女は妻キティと町から逃げろといった。ジョニーは、妻が身重なので、あまり動きたくない。シーラと口裏を合わせて明日の首実検も誤魔化し続けることにした。

翌日、シーラはドレスを新調して現れる。あまりもの美しさに街行く男たちはシーラが通ると必ず振り向いた。ところが振り向かない男がただ一人いた。それが、ビショップだったのだ。あまりも不自然さに違和感を覚えたボヴァードは、保安官やシーラがビショップとグルでないかと推理した。そしてビショップと大喧嘩をしたばかりのビッグ・マーフィを呼び出し、ボヴァード側のスパイに仕立てた。
夜中に隣の部屋のシーラが出かけたようだ。ボヴァードは追いかける。シーラはビショップから、ことのしだいを聞かされた。
懐が寂しかったビショップは、百ドル貰う代わりに馬を3頭用意するように頼まれた。待ち合わせ場所に馬を連れて行くと、強盗3人組が逃げて来て馬を乗りついだ。そのとき自分がはじめて利用されたことを知ったが、西部で強盗殺人絡みで捕まったら正当な裁判を受けられず処刑されるから、名前を変えて身を隠していたのだ。

一方、ボヴァードがシーラの跡を尾けているのをペドロが見ていて、物陰からボヴァードを狙撃する。ボヴァードは左肩を撃たれ、ほうほうの体でホテルに逃げ帰る。シーラはその後からホテルに戻るが、ボヴァードに責められ、捜査妨害をさせないために監禁される・・・。

雑感

老保安官が容疑者に逃げられて引退を決意するが、最後にシーンでニヤリとするシーンが待っている映画。
すでに47歳になったロバート・テイラーはずんぐりして、昔日の格好良さはない。
最大の見所は若手女優ティナ・ルイーズだ。1958年「真昼の欲情」でロバート・ライアン、ジャック・ロードらと共演して銀幕デビュー。翌年、「決断」で日本でも評価されるようになった。垂れ目で日本人好みなのだ。イタリア系だが、ソフィア・ローレンよりクラウディア・カルディナーレに近いタイプか。
1967年映画「サイレンサー破壊部隊」にも出ていたが、その時はもうエルケ・ソマーズ、シャロン・テイト、ナンシー・クワンという若手お色気女優の後塵を拝して4番目扱いだった。

若い頃は、いかにもイタリア系の娘でぽっちゃりして胸が大きくて、歌手としても高く評価され、セクシーとみなされがちだった。結構プロデューサーから配役の声がかかるのに、胸を見せるだけの役は嫌だと言って降りることが多く、映画界では満足な結果は残せなかった。
その中でもこの「決断」では、難しい役を割り当てられて、やりがいを感じて仕事をしたのではないか。
映画界から離れたあと、テレビ界に戻って日本でも放送していた大ヒット・シットコム「ギリガン君SOS」に主要人物ジンジャー・グラントとして出演していて、よく歌声を聞かせてくれた。この番組はアメリカでは四年間続いた。
映画の邦題「決断」は、最後にシーラ(ティナ・ルイーズ)が今後どういう人生を選択するかを指している。

大ヒット・アクションドラマ「ハワイ5−0」の主役を演じたジャック・ロードもこの頃はナイーブな若者役が多く、脇役でよく見た。ティナ・ルイーズとも共演作がこの作品を含めて少なくとも2本ある。

フィルム状態は良くて、白黒だけど保存状態が良かった。

スタッフ

製作 フランク・フリーマン・ジュニア
監督 マイケル・カーティズ
脚本 ダドリー・ニコルズ
原作 ルーク・ショート
撮影 ロイヤル・グリグス
美術 ヘンリー・バムステッド
音楽 ハリー・サックマン

キャスト

連邦保安官補ボヴァード  ロバート・テイラー
証人シーラ  ティナ・ルイーズ
ノース・クリークの保安官ウェストン  フェス・パーカー
容疑者ジョニー・ビショップ  ジャック・ロード
ジョニーの妻キティ  ジャーリー・ハーマー
ジョニーの喧嘩相手ビッグ・マーフィ  ジーン・エヴァンス
同僚アル・クルーズ  ミッキー・ショーネシー
雑用係ペドロ  ホセ・ゴンザレス・ゴンザレス

ネタばれ

翌朝ボヴァードが起きると、ウェストンはすでにビショップとキティを見たという。ビッグ・マーフィもあいつが犯人だとだけ言い残して、荷馬車で駆けて行った。ビショップは妻を連れて逃げるつもりだ。会社の中をボヴァードは、ウェストンに手伝わせてしらみ潰しに調べたが、何も出てこない。
そのときビッグ・マーフィが嘘をついていたのだと気付き、ボヴァードは馬を走らせる。やがてビッグ・マーフィのに馬車に追いつき拳銃を突きつけると、諦めたビショップ夫妻が荷の底から現れた。彼は自分がバターフィールドだと認めた。

そこで保安官事務所の留置所に一旦収監した。シーラを怒って部屋に籠るが、ボヴァードが入ってきて昔話をした。
若いころ、弁護士だったボヴァードは兄と一緒にカリフォルニアに向けて旅をしていたが、強盗団と出会い、兄を殺される。及び腰の保安官の代わりにボヴァードは、連邦保安官補に任命され強盗団を全員逮捕して、結局全員死刑になった。それ以来、あちこちから呼ばれてこの仕事を続けてきて、人を疑うことしかできなくなった。
それを聞き終えて、シーラは何が本当なのかわからなくなった。

留置所では、同僚アル・クルーズが留置所の壁を崩してビショップを逃した。ビショップに拳銃の照準を合わせたボバードだったが、考え直して空に向かって撃った。当然撃たれると思っていたビショップは、国境に向けて逃げていった。
連邦保安官補の職を辞しバッジをウェストンに返したボバードは、カルフォルニア行きの駅馬車に荷物を放り込んだ。そしてウェストンがシーラにプロポーズしたと聞き、二人を祝福した。しかしシーラは渋い顔をして、ウェストンに「あなたはとてもいい人で、大好きよ。だけど私はカリフォルニアへ付いて行くわ」と答える。ウェストンは愕然としている。ボヴァードは大喜びで花嫁を駅馬車に乗せて、旅立って行った。ウェストンはいつまでも駅馬車に手を振り続けていた。

 

 

決断 The Hangman (1958) パラマウント製作・配給 ロバート・テイラー、ティナ・ルイーズ主演西部劇

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