母と娘の30数年間にわたる関係を描いた女性映画。

ジェームズ・L・ブルックスラリー・マクマートリー原作の同名小説(1975)を映画化(製作・監督・脚本)した作品。

主演はデブラ・ウィンガーシャーリー・マクレーン
共演はジャック・ニコルソンジェフ・ダニエルズ,ジョン・リスゴー
ビスタサイズのメトロカラー。

あらすじ

テキサス州ヒューストン。
1948年、オーロラは赤ん坊のエマが寝たまま死んだと思い半狂乱になり、夫に呆れられる。(このシーンがラストの伏線になっている)
1956年、夫が亡くなったが、オーロラは気丈に振る舞っていた。でも夜になると、彼女は一人では心細くなり娘エマのベッドに潜り込む。
1964年、隣家に独身の元宇宙飛行士のギャレットが、引越して来て、しばしば夜のパーティーが開かれているようだ。

1969年、明日エマはフラップと結婚するという日、彼女は親友のパッツィーとマリファナを吸っていた。その隣の部屋で、オーロラは娘へのプレゼントを何にしようと考えて、何も思い付かない。それは貧乏な教師フラップとの結婚が気に食わなかったからだ。結局オーロラは、結婚式にも出席せず、フラップとオーロラの不仲が始まる。
オーロラの友人を集め、フラップとオーロラの仲を取り持つためのパーティを開く。その際、エマは妊娠したことを告げるが、オーロラは喜べなかった。
1970年、フラップはアイオワ州デ・モインの大学の助手に就職し、エマはオーロラやパッツィーに別れてアイオワへ向かう。娘と離れ離れになって寂しくなったオーロラは、隣家のギャレットにランチを誘わせるが、いざとなると断ってしまう。
1978年、エマは3人目の妊娠で家計がパンクする。母親に無心をするが、断られる。夫は最近帰らないことが多く、浮気をしているようだ。銀行に融資を頼みに行くが断られ、スーパーで金が足りず、恥かしい思いをする。そんなエマに救いの手を差し伸べたのが、銀行で彼女に融資を断ったサムだった。やがてエマは、サムと不倫するようになる。
一方、オーロラは、誘われてから8年目にギャレットとデートし、結ばれる・・・。

 

雑感

淡々と母と娘の家族史が描かれる女性向き映画。後半の急展開しか盛り上がる場面はなく、どちらかと言うと日本人向きの淡白な作品だが、アカデミー作品賞/監督賞/脚色賞/主演女優賞(シャーリー・マクレーン)/助演男優賞(ジャック・ニコルソン)を受賞した。主演女優賞には同時にデブラ・ウィンガー、助演男優賞にジョン・リスゴーもノミネートされていた。なぜこの映画が5部門で受賞したかと言うと、女性映画が当時のムーブメントだったからだろう。1983年作品賞のライバルは「ライトスタッフ」「再会の時」で、懐かしく観られる同窓会映画として筆者は後者の方が好きなのだが・・・。

オーロラは働くところを見せなかったから、地代か配当だけで暮らしている、中流以上の階級だろう。オーロラのような強いテキサス人から見たら、大学の教師程度は軟弱で貧乏な階級であり、フラップはエマの婿として相応しいと思えなかった。案の定、フラップは浮気をする。かと言って、当時の田舎町では気軽に別れることはできない。南部は階級社会だけれど、義理と人情の地域でもあった。
だから世間を知らないままに結婚したエマは、異なる階級に囲まれて、異なる土地で貧しい生活をして、神経をすり減らして癌になったのだろう。
映画を見る限り、テキサス人はニューヨーカーの都会人と違って、初めて会う人にセックスや離婚自慢をしたりしないようだ。つまり、テキサス人の方が初めのうちはシャイで、世間体を重んじる。訛りの有無はよくわからないが、会話だけでもテキサス特有の性格や宗教性の違いがわかってくる。

「愛と青春の旅立ち」のときもデブラ・ウィンガーは綺麗なのだが、ハスキーなだけでなく声がかなり低くてドスが利いている。ソプラノからメゾソプラノが好きな男性から見ると、残念な美人に見える。彼女は一度引退したせいで、復活しても大きな役が回って来なくなった。

シャーリー・マクレーンは、役柄を感じさせず自分らしく演じているが、最後に娘と別れる場面ではきちんと「迫真の演技」を見せてくれる。さすが、この作品でアカデミー主演女優賞を受賞するだけのことはあるが、できれば「愛と喝采の日々」の方で主演女優賞を受賞し、この作品ではデブラ・ウィンガーが受賞させてほしかった。

ちなみにデブラ・ウィンガーと並ぶと、シャーリー・マクレーンがかなり大きいこと(逆に言えばでブラ・ウィンガーが小柄であること)がわかった。

ジャック・ニコルソンも、ありがちなチョイ悪親父を演じている。映画「カッコーの巣の上で」で主演男優賞を受賞している彼が、本作でアカデミー助演男優賞を受賞したのは、それまでハードボイルドな役専門だった彼が一転して、良い人を演じたからだと思っている。その後、彼の役柄は善人役の方が多くなった。でも本作品からは、どうしようもないダメ夫を演じ切ったジェフ・ダニエルズの方が良かったような気がする。

スタッフ

監督、製作、脚本  ジェームズ・L・ブルックス
制作  ペニー・フィンケルマン、マーティン・ジュロー
原作  ラリー・マクマートリー
撮影  アンジェイ・バートコウィアク
音楽  マイケル・ゴア

 

キャスト

エマ  デブラ・ウィンガー
オーロラ(母)  シャーリー・マクレーン
ギャレット(元宇宙飛行士)  ジャック・ニコルソン
フラップ(夫)  ジェフ・ダニエルズ
サム(銀行員、エマの浮気相手)  ジョン・リスゴー
テディー(長男)  ハックルベリー・フォックス
トミー(次男)  トロイ・ビショップ
ヴァーノン(オーロラの友人)  ダニー・デヴィート
パッツィ(友人)  リサ・ハート・キャロル
ロージー(友人)  ベティ・R・キング
ジャニス(フラップの愛人)  ケイト・チャールソン

 

 

***

1980年ごろフラップは、ネブラスカ州リンカーンにある大学の英文学部長に招かれる。エマは、デモイン大学のキャンパスで、夫が女子大生ジャニスといちゃついているのを発見し、声を上げる。
ついに彼女は、夫と別居する覚悟を決め、長男トミー、次男テディ、長女メラニーをつれてオーロラの家に戻る。母は、大喜びだ。
しかし、夫が電話を掛けた途端に、エマは子供たちを連れてデモインに戻ってしまう。それから、荷物をまとめてリンカーンに転居する。新しい大学を訪れたエマは、ジャニスがそこに移っていることを知って嫉妬の炎を燃やす。その頃、ギャレットからオーロラは別れを告げられる。

エマは、娘を医者に連れて行ったついでに検査を受けると、悪性腫瘍が発見された。ニューヨークで暮らすパッツィーは、退院したエマを気晴らしにニューヨークに連れ出したが、パッツィの友人と合わず、すぐ帰って再度入院してしまう。オローラは、リンカーンに行ったきりになるが、そこへギャレットがやって来てオーロラを元気付けてくれる。オーロラは、思い切って復縁を申し込む。
そして病状が悪化したので、エマは親権をオーロラに譲ることをフラップに承知させ、トミーとテディに別れを告げた。最後はオーロラに微笑みかけながら、眠るようにエマは逝った。
反抗期に重なっていた長男トミーは、エマの死を認められなかった。しかし、彼もオーロラの家に移り、ギャレットが父親代わりになってくれそうだ。

愛と追憶の日々 Terms of Endearment (1983) ジェームズ・L・ブルックス製作 パラマウント配給 CIC国内配給 アカデミー作品賞受賞

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