1999年カンヌ国際映画祭グランプリ主演女優賞を受賞した、青春残酷映画
貧しく孤独な少女の不器用な生き方をドキュメンタリー・タッチで描く。
製作・監督・脚本はリュック&ジャン・ピエールのダルデンヌ兄弟で、「イゴールの約束」に次ぐ第二作である。
主演の少女はエミリエ・デュケンヌ

あらすじ

キャンプ場に停められたトレーラー・ハウスに少女ロゼッタは母と細々と暮らしていた。ロゼッタの悩みは慢性の腹痛だった。痛み出すと動けなくなるのだ。一方、母は慢性のアルコール中毒患者だが、娘に内緒で売春し酒代にしてしまうので、病状は酷くなるばかりだった。

ロゼッタは、試験雇用中だった工場を突然解雇される。理屈では勝てないロゼッタは、暴れた挙句に叩き出される。
ロゼッタは職業安定所に出向く。ロゼッタの職歴が短いことに気づいた職員から生活保護申請を勧められる。しかしロゼッタは、断った。人の助けを借りずに生きたいと強く思っていたからだ。

ワッフル・ショップで青年リケが働き始めた。ロゼッタは自分もできると思い、ショップ社長に仕事がないか尋ねるが、あっさり断られる。
彼女のことを気に入ったリケは、キャンプ場まで来てロゼッタに店に欠員が出たことを教えた。早速、応募したロゼッタは、翌日からショップで売り子として働く。

ロゼッタが無職だったおかげで家賃の滞納を起こして、トレーラー・ハウスの水道栓が閉められた。職についたロゼッタは、母に給料を渡して家主の元に向かわせた。やはり水が出ないので、ロゼッタが管理人の元へ苦情を言いに行った。すると母は酒代代わりに家主と寝ていた。ロゼッタは怒り、母を病院に連れて行こうとしたが、アル中治療を嫌がる母はまんまと逃亡する。

ロゼッタはもうトレーラー・ハウスに戻りたくない。彼女は、リケに空き部屋を紹介してもらう。
彼の部屋で子供らしく楽しく歌い踊っていると、ロゼッタにまた腹痛が襲う。母も逃げて行ったから、その夜はリケの部屋で休ませてもらうことにした。彼女は、今度の職場こそ何としても続けたいと確信する。

翌朝、ロゼッタはリケと出勤するが、社長は自分のバカ息子を働かせるため、彼女の首を切った。
行くところもなくなり、ロゼッタはキャンプ場へ戻った。そこへリケが彼女を心配して追いかけてきた。リケは当面の生活費は支援すると言ったが、ロゼッタは人の情けなど欲しくなかった。
リケは魚を捕まえようとして誤って池に落ちた。ロゼッタは一瞬リケが溺れれば、仕事に当たると考えた・・・。

 

雑感

ロゼッタは、すごい少女だ。
普通だったら、諦めて堕落の道を進むはずなのに、アル中の母親の介護をしながら、仕事をしている。
ところが、慢性腹痛という厄介な持病を持っている。これは恐らくストレス性のものだろう。精神が未熟なのに、仕事で負荷を受けて心が病んでいるのだ。
だから、会社の辞め際に一悶着を起こしてしまう。離職票をもらえないから、職安も仕事を紹介してくれない。
そんなことを続けていると、心がどんどん煮詰まってしまう。
やがて前の職場の友人である青年さえいなければ自分が仕事に戻れるはずだという執着が生まれる。彼が売り上げから一部を抜いて彼女の生活費に回すと言った時、恐ろしい考えが彼女の頭に湧く・・・。

日本ではITバブルとミレニアム危機で沸いた西暦2000年より前から、ベルギーには不況や親世代のモラルの崩壊が進み、ホームレスに限りなく近い生活をしている人が多く現れ、社会問題化したのだろう。
当時の日本では考えられない世界だった。でも今や「貧しい白人」時代に入って全世界的現象になってしまった。

ロゼッタ役のエミリエ・デュケンヌ(カンヌ主演女優賞)は、良い演技をしたと思う。その横顔をハンディ・カメラで追う迫力もすごかった。

スタッフ

監督、製作、脚本  リュック・ダルデンヌ(カンヌ国際映画祭グランプリ)
監督、製作、脚本  ジャン=ピエール・ダルデンヌ
製作  マイケル・パティン
撮影  アラン・マクルーン

キャスト

ロゼッタ  エミリエ・デュケンヌ
リケ  ファブリツィオ・ロンジョーネ
ワッフル・ショップの主人  オリヴィエ・グルメ
母親   アンヌ・イェルノー

 

ネタばれ

しかし結局ロゼッタは、棒切れを使ってリケを助けた。
翌日、ロゼッタが気まずいので、ワッフル・ショップの前を素知らぬふりをして通り過ぎようとする。ところが、リケが呼び止めた。リケは、自分の型で焼いたワッフルを売って彼女の生活費を作ると言う。しかし頑固なロゼッタは、その申し出を断った。
その代わりに彼女は、社長にリケがワッフルの売上数をごまかしていることを暴露した。社長は怒り、リケをクビにした。代わりに彼女が、売り子として働くことになった。

翌日ロゼッタは、仕事を終えてトレーラーハウスに帰宅した。すると母が酔い潰れて外で眠り込んでいる。絶望した彼女は、母親との心中を心に決める。
母をベッドに寝かせて、社長に電話で「仕事を辞める」と告げる。そして彼女は、ガス栓をひねってベッドに横になる。
しかしボンベのガスが切れてしまう。ロゼッタは家主から新しいガスボンベをもらう。
そこへバイクに乗ったリケが嫌がらせにやって来る。バイクで追われて逃げるロゼッタは、ガスボンベを落としてしまい、途端に泣き崩れる。リケは、何か大変なことが起きていると察して、思わずロゼッタの肩を抱きすくめる。

 

 

 

 

 

 

ロゼッタ Rosetta 1999 アープ・セレクション製作 ビターズ・エンド国内配給(2000)

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