(◎★)クロード・シャブロルが製作・監督・脚本したサスペンス風味の心理映画。
同居を始めた、性格が正反対の従兄弟同志が、花のパリで堅やガリ勉で片や遊び人として生きていく姿を描く。
ヌーヴェルバーグ作品でありながら、1959年のフランス興行収入1位に輝いた。
主演はジェラール・ブラン、ジャン=クロード・ブリアリ。
共演はジュリエット・メニエル。
第9回ベルリン国際映画祭金熊賞(最高賞)を受賞している。
国内では東和が輸入配給した。
雑感
ハリウッドならばラストシーンから作り始めて犯罪を推理するミステリ映画になるだろうアイデアを、脚本では敢えて時系列に沿って描いている。
すると、性格の違ういとこ同志の間に張り詰める緊張関係から、見事なサスペンス映画になっている。
映画通にしか認められなかったヌーベルバーグ作品でありながら、巧みな心理劇的なところが受けて、その年のフランス最多の興行収入を上げたのだろう。
クロード・シャブロル監督はこの後もサスペンス映画を得意とした。
ジェラール・ブランもジャン=クロード=ブリアリも監督の前作「美しきセルジュ」に続く主演。
キャスト
シャルル ジェラール・ブラン
ポール ジャン=クロード・ブリアリ
フロランス(シャルルが愛する女性) ジュリエット・メニエル
ジャン(クロヴィス) クロード・セルヴァル
本屋 ギイ・ドゥコンブル
イタリアのアルカンジェロ・ミネルヴァ伯爵 コラド・ガルデュッシ
ジュヌヴィエーヴ(ポールの子を妊娠した女性) ジュヌヴィエーヴ・クリュニー
フィリップ アンドレ・ジョセリン
ジャクリーヌ ヴィルジニー・ヴィトリ
フランソワーズ(フィリップを捨てた女性) ステファーヌ・オードラン
マルク ポール・ビシリア
門番(家政婦) ジャンヌ・ペレーズ
マルティーヌ フランソワーズ・ヴァテール
イヴォンヌ(ヴォンヴォン) ミシェル・メリッツ
スタッフ
製作・監督・脚本 クロード・シャブロル
台詞 ポール・ジェゴフ
音楽 ポール・ミスラキ
撮影 アンリ・ドカエ
ストーリー
真面目で田舎者のシャルル(ジェラール・ブラン)は法学士の資格試験を受験するため、パリに引っ越して従兄弟のポール(ジャン=クロード・ブリアリ)のアパルトマンに住み込む。同じ受験生であるポールは裕福なパリジャンであり、クロビスという謎の紳士とつるんで退廃的な生活をしていた。ポールには、空砲の銃を撃つ癖があった。
パリ見物に誘われたシャルルは、ポールの仲間が集うクラブで出会った美女フロランス(ジュリエット・メニエル)に恋をする。翌日行われたパーティーでシャルルはフロランス誘うが、ポールが一緒に車で遊びに行こうと言ったので二人とも付いていく。再び、シャルルはフロランスとデートの約束をするが、行き違いが起きる。シャルルが学校で待ち合わせ、フロランスはポールのアパルトマンに行ってしまう。
そこにいたポールは、あばずれなフロランスと生真面目なシャルルの恋が上手くいくはずがないと説得され、それもそうだと考えたフロランスは、ポールに身を委ねる。シャルルが帰宅すると、ショックな事態が起きた。ポールはフロランスと同棲をすると宣言したのだ。パリシャンなら良くあることだが、田舎者には厳しい洗礼だった・・・。
シャルルは勉学に励むが、どうしても二人の声が聞こえてくる。ポールの法学士試験はシャルルより先だったので、要領の良い彼は合格した。しかし、ポールはフロランスと別れてしまった。シャルルは傷心の彼女に誘われるが、断ってしまう。
翌日シャルルは受験するが、山が外れたのか落ちてしまう。シャルルは一人で町をさまよう。レストランの窓から中でフロランスを見つけるが、クロビスの情婦になっていた。
夜になって部屋に帰りピストルをとり、一発の弾丸をこめた。弾倉を回転させ、寝ているポールの頭に向けて一発撃った。
翌朝、ポールはシャルルの不合格をなぐさめようとした。彼はそこにあったピストルをとりあげ、シャルルにむけた。「撃つな」という叫び声が聞こえて、シャルルの胸を射抜かれ倒れた。ポールは呆然とした。