「のだめカンタービレ」の映画と同時期に作られた本物の音楽映画。

ソ連時代に首になったユダヤ系ロシア人の楽団が30年ぶりに集まり、パリで演奏する。
しかしたまに大都会パリに出てきたお登りさんのユダヤ人は、ここぞとばかりに金儲けに走る。
ロシア人指揮者はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のソリストに当代きってのアンネ・マリー・ジャケを指名した。
ソリストは指揮者に憧れて一度は受けたが、しかしリハにも来ない楽団を見て、降りると言い出す。
チェリストのサーシャは、酒におぼれる指揮者を見ていられず、ジャケのところに行き「このコンサートが済んだとき、君の両親のことがわかる」と言う。
こうして波乱含みの中、コンサートは始まる。
出だしのオーケストラは、がたがただった。
しかし一旦ジャケのソロが始まるやいなや、楽団員には彼女がそこにいる理由がわかったのだ。
彼女の見事なソロに引っ張られて、楽団は30年ぶりに音を奏で始める。

彼女は30年前楽団とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で共演していたソリストの忘れ形見だったのだ。
彼女の母はブレジネフ書記長批判によりシベリヤ送りになり死んでしまったが、娘は何も知らされずパリで育てられ、当代一のソリストに成長していたのだ。

 

ラストの協奏曲シーンは劇的鳥肌ものである。
ふだんよく聞くチャイコフスキーより情熱的な名演になっている。
誰が演奏しているのか?
CDが欲しくなった。(後の調査でサラ・ネムタヌというルーマニア人の女性ソリストだとわかる)

 

映画はフランス映画だが、ロシア語が70%を占める特殊な作品だ。
要するにユダヤ資本により作られたユダヤ映画なのだろう。

 

メラニー・ロランはおそらくユダヤ人の血を受け継いだフランス人だろうが、実に美しい。
ナスターシャ・キンスキーより格段に上だ。
彼女を見ているだけで楽しい気分になれる。
しかし悲しいこともある。
ミウミウはしばらく見ないうちに、おばさんになってしまった。

 

最後に共産党員のマネージャーが楽団のキセキのような演奏を聴き、神様がこの世にいると言ったのは、いかにもユダヤ映画らしい。

 

監督 ラデュ・ミヘイレアニュ
脚本 ラデュ・ミヘイレアニュ アラン=ミシェル・ブラン マシュー・ロビンス
原案 ヘクトール・カベッロ・レイエス ティエリー・デ・グランディ
撮影監督 ローラン・ダイアン
音楽 アルマンド・アマール

 

出演
アレクセイ・グシコフ (指揮者)
メラニー・ロラン (アンヌ・マリー・ジャケ)
フランソワ・ベルレアン
ミュウ・ミュウ (エージェント)
ドミトリー・ナザロフ (チェリスト)