オノレ・ド・バルザックの小説「十三人組物語」のエピソード「金色の眼の娘」をピエール・ペルグリ、フィリップ・デュマルセーが、現代のオートクチュール界を舞台に置き換えて脚色し、新人ジャン・ガブリエル・アルビコッコが監督した同性愛映画。
撮影はジャン・ガブリエルの父キント・アルビコッコで、音楽は「禁じられた遊び」のナルシソ・イエペス。
主演はマリー・ラフォレ、共演はポール・ゲール、フランソワーズ・プレボー。白黒映画。
あらすじ
十三人組はプレイボーイから成る集団である。その中の写真家アンリは名うての女たらしである。今日もカティアというモデルの卵を味見する。その上で被写体としてファッション誌の編集長エレオノールに紹介する。エレオノール(レオ)とは長い付き合いだが、アンリには彼女のことがよくわからなかった。
美しい金色の眼の女が、アンリの車に間違って乗っていた。その姿に惹かれた彼は写真におさめた。逃げ出した娘に瞬時にメモを持たせた。そこにはデートの場所と時間が書かれていた。ところが時間よりはるかに早く現れたので、会えなかった。
その夜、彼はパーティー会場にいた金色の眼の娘に気がついた。アンリは娘の後を追い、彼女の部屋で追い付く。彼らは愛し合った。彼女は性愛には慣れていたが、どうやら処女のようだった。娘は自分の名前を名乗らないが、アンリと結婚したい、どこかへ連れていってくれと頼んだ。
アンリは、彼女に大きな秘密があるのを感じ、部屋の隠し戸を見つける。扉の向うは、レオの部屋があった。この金色の眼の娘は、同性愛者レオの囲われものだったのだ。
レオは、アンリに娘を連れて行かれるのを恐れた。そこで娘を別宅に隠した・・・。
雑感
話の内容は、あまりない。
それより白黒フィルムが、主演マリー・ラフォレの眼の美しさを引き立てる作品。カラー・フィルムではこの美しさは出ない。ラフォレの目はロンパリだが、瞳が実に綺麗だった。
バルザックの原作小説は、1815年のパリを描いている。
主人公は貴族の次男三男から成る十三人組の一員アンリだ。金色の眼を持つ少女はパキタという名である。彼女はスペインの侯爵家に保護されていた。しかし内通者によって隠れ家で二人は密会する。ある日パキタは、絶頂で「マリキタ」と叫んだ。アンリは、別の男のことかと思い、嫉妬してしばらく会いに行かなかった。久しぶりにパキタに会いに行くと、侯爵夫人がいてパキタを殺したところだった。
という話である。侯爵夫人はアンリの姉で、瓜二つだった。
カトリーヌ・ドヌーヴの姉であるフランソワーズ・ドルレアックが、最初だけだがモデル役で出演している。
スタッフ
監督 ジャン=ガブリエル・アルビコッコ
脚本 ピエール・ペルグリ、フィリップ・デュマルセル
原作 オノレ・ド・バルザック
製作 ジャック・ガルシャ
音楽 ナルシソ・イエペス
撮影 キント・アルビコッコ
キャスト
金色の眼の女:マリー・ラフォレ
アンリ:ポール・ゲール
エレオノール:フランソワーズ・プレヴォー
ケイティ:フランソワーズ・ドルレアック
タクシー運転手:ジャック・エルラン
***
娘はアンリに逢いたいと泣いた。レオは、隠れ家にアンリを案内した。娘はアンリの訪れを知って喜ぶ。レオは、そんな彼女の背中をナイフで刺し殺す。金色の眼の娘を抱きしめたアンリは、生まれてはじめて愛の告白をする。