マート・クロウリー原作によるオフ・ブロードウェイ舞台劇(1968年初演で大ヒットしていまだに公演されている)を、原作者自身が1970年に映画化したもの。
ゲイが集まった誕生日パーティーに一人だけノンケが混ざったことにより起きる出来事をサスペンス・タッチで描いた。
監督には「フレンチ・コネクション」「エクソシスト」でメジャーになる直前のウィリアム・フリードキンを起用している。
主要出演者は舞台と全く同じ男優陣を起用したが、この後、半数以上がエイズで亡くなっている。
あらすじ
カトリック信者でマイケル(ケネス・ネルソン)の部屋でユダヤ人ハロルド(レオナルド・フレイ)のバースディ・パーティーを開くことになった。元恋人ドナルド(フレデリック・コムズ)が一番乗りでパーティーに訪れた。彼は最近精神科に通院している。続いて、
インテリア専門のオネエ・エモリー(クリフ・ゴーマン)、
黒人バーナード(ルーベン・グリーン)、
カメラマンのラリー(キース・プレンティス)、
数学教師のハンク(ローレンス・ラッキンビル)
が、パーティーに加わった。彼らが踊っていたとき、突然マイケルの旧友アラン(ピーター・ホワイト)が部屋を訪れた。それまでアランはマイケルがホモだと知らなかった。
やがて今夜の主役ハロルドが登場し、異様な空気をはらんだ部屋で、マイケルは「告白ゲーム」を開始する。一番愛している相手に電話をかけて愛の告白をするというゲームだ。もちろん相手は同性だ。
犠牲となったバーナードとエモリーは、かつての級友(男)に知られた羞恥から来る自己嫌悪にさいなまれる。ハンクは同棲相手のラリーに隣の部屋から掛け、浮気性だったラリーも遂にハンクに愛の告白をし、2階の部屋で二人は愛し合う。
マイケルは次にアランを指名した。「俺はお前が大学時代ホモだったことを知っている」。しかしアランが電話で愛を告げている声をマイケルは聞き、敗北感に打ちのめされる。アランの妻の声だったのだ。みじめなマイケルに、帰宅するハロルドは「ホモはホモでしかない」と言う。
宴の後、マイケルは「俺には生きるということがさっぱりわからない」という父親に言われたのを思い出し、真夜中のミサに行った。
雑感
最近、過激なBL漫画がアニメ化されている。それを見ていて、腐女子の考えるBL世界と実際のゲイの世界はだいぶ違うと思った。
この映画が作られてから50年近くが経つが、ゲイの世界は今も変わらない。たとえLBGTが市民権を持つ時代になっても、彼(女)らの悩みや苦しみは尽きない。
「告白ゲーム」は学生時代に罰ゲームとしてやっているのを見たことがある。ノンケでさえ、辛いゲームである。
異性同士だったら、「気持ちはありがたいけれど」と返事されるだろう。同性愛者の場合、ガチャリと電話を切られて、友情さえ消し飛んでしまう。
主役のマイケルがカトリックであるのは、カトリックがホモ・セクシュアルを罪だとみなしているからである。最近ローマ教皇庁は同性愛者に対する迫害に反対しているが、いまだ積極的に受け入れることはない。
マイケルは普段からゲイである罪に苛まれているのだ。従ってストレートの友人には自分の性的嗜好を知られたくない。いわゆるクローゼット(カミングアウトの反対語)なのだ。
日本語の字幕に頼ってしまったため、真意の分からない台詞がたくさんあった。しかし英語を見ても隠語のスラングは分からないから仕方がない。
たとえば主役のマイケルが愛していたのは誰なのか。それは大きな問題では無いのか。またアランは何をしにマイケルを訪れたのか。
スタッフ
監督 ウィリアム・フリードキン
製作・原作・脚本 マート・クロウリー
撮影 アーサー・J・オニッツ
編集 ジェリー・グリーンバーグ
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配役
マイケル(カトリック信者) ケネス・ネルソン
ドナルド(イケメンの神経症) フレデリック・コムズ
エモリー(オネエのインテリア・コーディネーター) クリフ・ゴーマン
バーナード(黒人) ルーベン・グリーン
ラリー(浮気者のカメラマン) キース・プレンティス
ハンク(妻子持ちの教師) ローレンス・ラッキンビル
ハロルド(ユダヤ人) レオナルド・フレイ
男娼(真夜中のカーボーイ) ロバート・ラ・トゥールノウ
アラン(招かれざる客) ピーター・ホワイト