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犯人は21番地に住む L’Assassin Habite au 21 1943 フランス製作 SEF=東宝配給

   


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戦時中ナチス征服下のフランスで、ピエール・フレネーが主演する探偵映画。ベルギー人S・A・ステーマン作の探偵小説を原作者自身と監督アンリ・ジョルジュ・クルーゾーが共同脚色した。助演はシュジ・ドレール、ピエール・ラルケ、ノエル・ロックヴェール、フロランシー、ジャン・ティシェ、オデット・タラザク、マクシミエンヌ、ルネ・ジェナンら。日本公開は戦後の1948年で配給はSEF=東宝。
 

 

 

あらすじ

 
パリ・モンマルトルで連続殺人事件が起きる。デュラン氏と名乗る名刺が死体に添えられている。警察は全く解決の糸口を掴めない。
パリ警視庁の刑事局長はウエンス警視に事件担当を任せる。彼の愛人ミラは探偵助手となる。ウエンスは現タレコミにより、殺人者はジュノー街二十一番地ミモザ館に住むことを掴む。
ウェンスは牧師に変装してミモザ館の住人となる。ミラもやって来る。他の住人は中年女性作家キュック嬢、ララポール教授と名乗る奇術師、堕胎医コラン氏、ボクサーだったが盲目になったキッド、その看護婦ヴァニヤらだ。

ウエンスもすぐに身元を見破られる。キュック嬢の死体が名刺とともに浴槽の中で発見された。 モネー刑事局長はランツを疑ったが、ウエンスはコランを逮捕した。ところがその翌朝ウエンスは部屋の戸の外で、デュラン氏の名刺を握っている死体を発見した。コランは釈放された。

勝ちほこったモネーはランツを逮捕した。そして責められたランツが白状した時、デュラン氏署名の殺人がさらに行われてランツも釈放された。

下宿人が皆、疑いが晴れたので、ポアン夫人はミモザ館で祝賀会を開いた。ウエンスとミラも招待された。コランとランツとララポールはベートーヴェンの三重奏をはじめた。

ウエンスはふと思いついて外の警官に知らせようとするが、ララポールがピストルをつきつけ、建築現場に連れ込んだ。コランとランツも現れてウェンスの処刑を行うつもりだ。三人は幼馴染であり、三人が交代して犯行を行なっていた。ウェンス危機一髪のとき、ミラが案内した警官隊が現れて、三人は逮捕された。

 

 

雑感

 
アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの監督処女作で、それ以降の重厚さが全く感じられない軽いコメディ調の謎解き劇。
S・A・ステーマンの原作は舞台をロンドンにしていて、如何にも英国風の館ミステリかつコージー・ミステリーだが、原作者自ら脚本参加している映画では舞台をモンパルナスに置き換えている。
トリックはやや力技かと思ったが、私が推理したキッド犯人説よりよほど筋が良い。
ステーマンはベルギー人だが、警察小説「メグレ警視」シリーズを書いたジョルジュ・シムノンもベルギー人だ。
フランスでは本格推理小説が流行らない。実は1930年代に一時だけ流行ったことがあり、S・A・ステーマンとフランス人古書店主ピエール・ヴェリーの小説が人気の中心になった。しかし1940年代に入り、ナチスが侵略して共和政府が倒されヴィシー政権になり、娯楽小説を楽しむどころでなくなった。その代わり映画で大衆に娯楽を提供して政権への不満をそらそうとしたわけだ。

 

 

キャスト・スタッフ

 
監督 アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
原作   S・A・ステーマン
脚色 S・A・ステーマン、アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
撮影 アルマン・ティラール
音楽 モーリス・イヴェン
 
配役
ウェンス警視 ピエール・フレネ
恋人ミラ シュジ・ドレール
奇術師ララプール ジャン・ティシェ
人形職人コラン ピエール・ラルケ
堕胎医リンツ博士 ノエル・ロックヴェール
マダム オデット・タラザク
ロベール ジャン・デスポー
ヴァニア ユゲット・フィフィア

 - 01.映画, 12. 欧州映画, 30.仏・ベネルクス(〜69年) , , , , ,