「シュリ」のキム・ユンジン、若手アイドルのオク・テギョン主演のホラー・ミステリー映画。
1992年古い家で殺人事件が発生し、夫と息子殺害の容疑で妻が逮捕されるが、息子の遺体は見つからなかった。25年後、仮釈放された妻は事件が起きた家に戻るが、若い神父が訪れる・・・。
監督はイム・デウン。脚本はチャン・ジェヒョン。
あらすじ
1992年、その家の主人チョルジュンが地下室で腹を刺されて絶命しており、そばに妻ミヒが刃物を持って立っていた。何故か息子ヒョジュの姿が見当たらない。
実は夫はミヒが来た時既に死んでおり、扉に入って行こうとしたヒョジェにミヒは手を差し伸べるが、その瞬間、扉の中にヒョジェは引きずり込まれ扉が閉まる。扉を開けるが、コンクリートの壁だった。
ミヒは夫チョルジュンと長男ヒョジェ殺害の罪で逮捕され、裁判で懲役30年を申し渡される。
現代
25年後、ミヒは老女となり、末期喉頭ガンのため、仮釈放され、自宅に戻る。
戻るや否や彼女は包丁を持って地下室へ向かうが、壁や扉が叩かれ走り回る音がして、背後を人影が走り抜ける怪奇現象が起こる。
近くの教会の若いチェ神父が訪ねてくる。彼はミヒが真面目な教徒だったと残念がるが、ミヒは「神はいない」と言い捨てる。
25年前
ミヒの家庭は、警察官である夫のチョルジュンは仕事のステレスを家庭に持ち込み、実子のジウォンだけを可愛がり、心臓病を持つ、妻の連れ子ヒョジェに冷たく当たる。
兄弟は大の仲良しで、兄ヒョジェは相棒ジュノといつも握手のコンボを決めていた。ヒョジェはジュノの妹ヨニに綺麗なビー玉をプレゼントしたことがある。ヨニはそれを嬉しそうに握りしめていた。
2人が帰宅すると駄菓子屋のノ婆ちゃんが来ていた。ノ婆ちゃんは口ごもり、逃げるように帰っていく。
深夜、何者かが家の中を徘徊して、母と息子二人を襲うが、跡形もなく消えてしまう。
ヒョジェは、ミヒに「出て行け、子供が死ぬ」と書かれた、メモを見せるが、誰からもらったのか言わなかった。
ミヒは道で駄菓子屋のノ婆ちゃんに呼び止められ「良い地相鑑定士を紹介する」と言われる。鑑定士は傲慢そうだったが、地下室でダウンジングの振り子で調べたところ、奥の扉の前に引っ張られ、怯えながらドアを開ける。
コンクリートの壁だったが、その中からは子供の笑い声がしたかと思うと、太い声で怒鳴られ、「霊媒師に頼め」と言い捨てて慌てて逃げ出す。
・・・
現代。
ミヒを再訪したチェ牧師は、「25年前の事件を調べてみましたが、不可解な点が多い」と切り出す。ミヒは、彼を地下室に案内し、「家の中に何者かがいたの。あいつらがヒョジェを連れて行った」と言い、扉を示す。
チェ牧師は役所に行き、ミヒの家を調べる。そこは、幽霊屋敷として有名な場所だった。初老の職員が「60年代にも一家失踪事件があった」と呟いたことから、チェ神父は警察署に行き、「事件の被害者に祈りを捧げる」という名目で資料室に入る許可を取り、1967年11月11日若い母親と小学生の2人娘の失踪事件があった事を知る。
午後6時ミヒの姿見には、いつの間に赤い6本の爪跡が付き、廊下を駆け抜ける少女の姿が映る。
ミヒは地下室に行き、ツルハシで扉の中の壁を破壊しようとするが、なかなか壊れない。
部屋の隅にいる2人の少女を見つけると、二人は怖ろしい顔で振り向き、逃げると和服の女が立っていて刺されそうになる。
25年前
ミヒは霊媒師の元を尋ねる。霊媒師は会う途端に顔色を変え、彼女の家に向かう事になった。ミヒの家に入った霊媒師は、いきなり地下室への廊下を杖で指して気を吐き、中央にミヒを座らせて祈祷を始める。霊媒師に霊が乗り移り、「早く出ていけ!」と日本語で叫び、「あの人たちはまだこの家にいる!どうしてここにいる?」と狂乱する。
霊媒師の弟子は「目を閉じて、絶対に開けないでください」と指示する。しかし男の恫喝や子供の悲壮な声になり、言い争う声や叫び声が続き、ミヒは思わず目を開けるが、すぐ目の前に白髭の老人がいて彼女を見つめ、霊媒師と弟子の後ろには白い顔をした2人の少女と母親の姿がいて、引き戸の影には和服の女と髭の男がいてミヒを睨んでいた。
ミヒが「お願いだからもうやめて!」と叫んだ瞬間、不気味な人影は全て消え去るが、ミヒは霊媒師に「帰って」と叫んでしまう。
21時にようやくヒョジェが「ジュノの家で遊んでた」と言って帰り、ジウォンが失踪した事を知ったミヒが探しに行くと、ジウォンの自転車を見つける。警察に通報し捜索が始まるが、ジウォンは池の中から遺体で発見される。
・・・
現代。
チェ神父は、1942年の新聞から「渡部国男将軍の家で11月11日に将軍家族が殺害された」というパク・ウルセン記者の記事を見つける。
しかしウルセンは存命中であり、実は渡部将軍一家は朝鮮人の反乱のため逃げるために地下室に入り、それ以来誰も彼らを見ていないと告白する。
チェは、ミヒの家に行き全てを打ち明ける。「1942年の渡部夫妻、1967年の母親と2人娘、そして1992年のヒョジェの失踪事件は、全て25年ごとの11月11日に起きている、そしてまさに今日がその日だ」と言い、急いで逃げるよう説得する。
しかしミヒは、家の中に残る事を選択する・・・。
雑感
ホラーと思ったら、泣ける感動ストーリーだった。韓国映画も変わったと思ったが、べネズエラの映画がオリジナルらしい。韓国映画もネタが尽きてきたみたいだ。
母役のキム・ユンジンは、かつてロードショーで見た大ヒット映画「シュリ」の主演女優。ぱっと見には、気付かなかった。今時の韓流ファンは知らないだろう。
「時間回廊の殺人」の公開時は44歳。白髪の老婆になった後のシーンが長く続いたが、違和感はなかった。
25年前と現代を行ったり来たりするので、わかりにくいところがある。さらに50年前、75年前の人物が登場して、わかりにくくなっている。
老ヒュジェは一体何年後からやってきたのだろうか。現代から75年後だと思うが、だとするとこの家は150年経っても立て替えられず、存在するのか?日本の建築技術は、すごいな。
スタッフ
監督 イム・デウン
脚本 チャン・ジェヒョン
撮影 パク・ジェホン
キャスト
主婦ミヒ キム・ユンジン
チェ神父 オク・テギョン
夫チョルジュン チョ・ジェユン
警官 イ・ハンフィ
霊媒師 パク・ジュンミョン
***
25年前。
ジウォンを失った一家は哀しみに暮れ、チョルジュンは酒に溺れた。
そして2017年11月11日午後11時11分、時間が狂い始める。
ミヒはカンテラと包丁を持って、地下室の扉へと近づいて行く。
そこに25年後の老女となったミヒが現れる。老ミヒはノートの端に「出て行け 子供が死ぬ」と書き、ヒョジェに「これをママだけに見せなさい。私と会った事は言わないで」と言い、立ち去る。
チョルジュンは手に包丁を握り、部屋に逃げ込んだヒョジェに包丁を振りかざす。ヒョジェは愕然として地下室に逃げ込み、チョルジュンが後を追う。
一方、居間に戻った老ミヒは地下室のあの扉に入る。すると白髭の老人は「お母さん…あなたの息子のヒョジェです」と言う。老ヒョジュは「あなたに会うため75年も待ちました。この家はお母さんを1992年のあの時に連れて行くはず…その時あなたは僕を助けてくれた。でも次は助けないで」と言う。
「ママ!助けて!」子供のヒョジェのその声に、若いミヒと老ミヒが同時に気づく。老ミヒは、「これがママの運命なの」と言い、地下室に戻り、背後からチョルジュンを殴り倒し、包丁で腹を刺す。
間もなく若いミヒが降りて来たため、老ミヒはヒョジェと交わした「心臓病を治す」と言う約束を現代に戻れば果たせると思い、ヒョジェを抱えて扉の闇に引きずり込む。
現代
翌日、チェ神父に全てを打ち明けた老ミヒは、2階の子供部屋にいる1992年のヒョジェに引き合わせる。チェ神父は握手を求める。その握手はヒョジェとジュノの約束だったコンボ握手になり、「ジュノか?」「そうだ」と微笑む。
老ミヒはヒョジェに「ママは遠くに行く」と打ち明け、泣き出したヒョジェに「ずっと後から来ればいい」と微笑む。 彼女はチェ神父に、25年前に戻って夫を殺害した事実を打ち明け、ヒョジェの心臓病を治療してやって欲しいと頼んでいく。彼女はガンが進行して余命幾ばくもない。
ヒョジェはチェ神父と家を去る。チェとヒョジェが辿り着いた教会には美しく成長したヨニが微笑んで待っていた。