あのステラ・スティーブンスにまた会いたくて、DVDを買った。
原題”The Nutty Professor” で分かる通り、エディ・マーフィーの映画「ナッティ・プロフェッサー」(1996)、さらに2008年に公開されたアニメ映画のオリジナルだ。
主人公が化学者だからネタ元はスティーブンソンのSF小説「ジキル博士とハイド氏」である。「超人ハルク」は物理学者だからやや遠いが、1962年にマーベルで連載が始まったから全くの無関係と言い切れない。
この映画はパラマウントがジェリー・ルイスに求める家族向け映画とはかなり違ったが、大成功を挙げた。
この映画はパラマウントがジェリー・ルイスに求める家族向け映画とはかなり違ったが、大成功を挙げた。
オープニング・テーマは「星影のステラ」、DVDのオーディオコメンタリーでは歌手のスティーブ・ローレンスが映画に合わせて口ずさんでくれる。
冴えない主人公のケルプ教授(ジェリー・ルイス)は、ガタイの良い学生どもにいつも舐められている。彼は体力を付けて対抗しようと、ジムに通うが一向に効果が上がらない。そこで専門の化学を生かして、かつてない強壮薬を合成する。しかし動物実験している暇がなく、自分で人体実験する。その結果、毛むくじゃらのマッチョ・マンになるのではなく、ディーン・マーティンのようなラテン系イケメン、バディ・ラブに変身する。そして悪戯心から親切に接してくれる美人女子大生ステラ(ステラ・スティーブンス)を誘惑してしまう。しかし強壮薬の効果は使用する毎に持続期間が短くなり、ついには全学生の前で正体が暴露されて・・・。
ジムでひ弱い主人公ケルプ教授にバーベルが渡されると、立ったまま地面まで腕がビヨーンと伸びるシーンが有名。
個人的には堅物の校長(デル・ムーア)とバディ・ラブが出会うシーンで、学生演劇をやっていた校長を焚きつけて「ハムレット」を演じさせるところ(おそらくアドリブだらけ)が、社長シリーズの三木のり平と森繁久弥の掛け合いみたいで楽しかった。
かつて共演した健康美人歌手コニー・スティーブンスと金髪が似ているが、ヒロインのステラ・スティーブンスは、もう少しマリリン・モンロー寄りのお色気タイプだった。要するに男好きのする美人だ。「ポセイドン・アドベンチャー」にもB級映画にも多く出演したが、この作品が彼女のNo. 1。とくにカラー撮影が美しいから、彼女も映える。
自分は必ずしもジェリー・ルイスのコメディーと完全に合うわけではないが、共演女優の選択は実に素晴らしい。
なお、今回もビッグバンドの演奏シーンがあったが、親友のカウント・ベイシーでなく「センチメンタル・ジャーニー」を大ヒットさせたレス・ブラウン楽団が出演している。
スタッフ
監督: ジェリー・ルイス
製作: アーネスト・グランクスマン
脚本: ジェリー・ルイス、ビル・リッチモンド
撮影: ウォーレス・ケリー
キャスト (DVD吹替)
ジェリー・ルイス (近石真介)
ステラ・スティーブンス (西沢和子:アニメ「あしたのジョー」の初代白木葉子様の声を演じた)
デル・ムーア (緑川稔)
キャサリン・フリーマン :ジェリー・ルイス映画の常連
ハワード・モリス
エルヴィア・オールマン
レス・ブラウン :ビッグバンド指揮者
リチャード・キール :007映画のジョーズ役で有名
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底抜け大学教授 1963 (パラマウント配給) ジェリー・ルイスが監督、脚本、主演の一人三役に挑んだSF変身コメディー