ロサンゼルスで発生した実際の事件に基づき、犯人を追うロス市警の様子をセミ・ドキュメンタリー・タッチに描いたフィルム・ノワール。ブライアン・フォイが設立した独立プロの作品である。
製作はロバート・T・ケーンで、クレーン・ウィルバーとジョン・C・ヒギンスの共同オリジナル脚本を、アルフレッド・ワーカーが監督した。
主演は舞台出身のリチャード・ベースハートとスコット・ブラディ。
共演はロイ・ロバーツ、ウィット・ビッセル、ジム・カードウェル。白黒映画。
あらすじ
ロサンゼルス警察の殺人課刑事マーティ・ブレナンとチャック・ジョーンズは、警官殺人事件を追っていた。乗り捨てられた車には遺留品として大量の銃器と通信機が残されていた。
リーブスの経営する通信機販売会社に商品を卸しに来る、腕の良い電気技師モーガンが窃盗事件の容疑者として捜査線上に上がる。その頃、連続強盗事件が発生していたが、犯人は指紋などの証拠を一切残さなかった。
しかし銃痕から警官殺人事件、連続強盗事件、通信機窃盗事件は同一犯の仕業だと分かる。証人を集めて、モーガンの似顔絵(モンタージュ)が作られる。
ある夜、リーブスの家をモーガンが訪れる。
居合わせたマーティとチャックが、モーガンと撃ち合いになるが、チャックが撃たれて重傷を負い、モーガンは逃げてしまう。無事だったマーティも、担当を外される・・・。
雑感
ロス市警を舞台にした、セミ・ドキュメンタリー形式のフィルム・ノワール。ニューヨーク市警を舞台にして同年3月に公開されヒットした「裸の町」の影響を受けた作品で、これらは戦後の警察映画と呼ぶべきだ。とくに教育訓練費が安くて済む復員兵を警察は大量に雇用するため、警察のイメージを良くしたかったのだろう。
監督や脚本家の差だろうが、「裸の町」の方が面白かった。
残念なのは、初めから犯人の顔が出てくる。それがなかなかの男前過ぎて、全く不気味さを感じない。でも犯行動機に関する示唆はない点は、当時のロス市民はやや不気味に感じたかも知れない。
リチャード・ベースハートは、舞台出身でこの映画が三作目である。若い優男で、誰だか気付かなかったw。
のちに渋くなって、フェリー二監督の「道」や「白鯨」に出演し、TVドラマ「原子力潜水艦シービュー号」でネルソン提督役を演じて日本でも有名になる。
スタッフ
監督 アルフレッド・ワーカー
製作 ロバート・T・ケーン
脚本 クレーン・ウィルバー、ジョン・C・ヒギンズ
撮影 ジョン・アルトン
音楽 レオニード・ラーブ
キャスト
デイビス・モーガン リチャード・ベイスハート
マーティ・ブレナン刑事 スコット・ブラディ
部長刑事ブリーン ロイ・ロバーツ
通信機販売会社社長リーブス ウィット・ビッセル
マーティの同僚チャック・ジョーンズ ジム・カードウェル
***
入院していたチャックは、モーガンの手口を分析して、警察関係者だと推理し、マーティはロサンゼルス中の警察署にモーガンの似顔絵を回す。やがてある警察署から、彼が戦争前の無線通信員モーガンとそっくりだという報告が届く。また郵便局員が担当地区に住む、大人しい男に似ていると証言する。
マーティは、牛乳配達に化けてモーガンの首実検に成功する。その夜、警官隊はモーガンの家を取り囲む。警察に気付いたモーガンは、下水溝の中に飛び込んだ。ロス市警は、全ての下水溝を抑え、下水道内で犯人を追い詰める。死角から発砲するモーガンに警察は催涙ガスであぶり出し、出てきたところをついに射殺した。