宝田明、白川由美コンビとしては珍しいリアリズム映画。
松山善三が脚本を書くと、東宝家庭劇もこうなる。
兄は大学を卒業してサラリーマンをやっているが、孤児の女給と結婚した。
その際、厳格な父が反対したため、両者の間には秋風が吹いている。
弟は大学にも行かず、白タクに乗って父母を養っている。
ある日、弟が交通事故を起こして、損害賠償を支払わなければならないことになり、父母が兄夫婦に頭を下げるが、妻は「私が結婚したとき、娘が生まれたときあなたたちは何をしてくれたか?」と金策を断った。
ショックのあまり父は飛び込み自殺を図る。
脚本がしっかりしていると、俳優がしっかり動く。
白川由美がケチな嫁を熱演。
藤原釜足もプライドを引きずる不器用な老人を好演。
個人的にはデビュー間無しの藤山陽子が初々しい。
後にテレビヒロインなどで活躍したが、1961年頃が最も美しい。
役柄としては、エレベーターガールから秘書課へ異動する現代的な女性。
しかし美貌が災いしてストーカーに狙われる。
監督 千葉泰樹
脚本 松山善三
製作 藤本真澄
撮影 玉井正夫
音楽 伊福部昭
出演
藤原釜足 (父、元校長)
望月優子 (母)
宝田明 (兄、サラリーマン)
白川由美 (兄嫁)
加山雄三 (弟、タクシー運転手)
藤山陽子 (末妹、エレベーターガール)
小泉博 (部長)
堺左千夫 (兄の同僚)
藤木悠 (同上)
二人の息子 1961 東宝