長い間見たかった英国映画だ。

両親を亡くした米国生まれのアン・レイクは雑誌社に勤める兄のいるロンドンへ移り住む。

朝から引っ越し荷物の到着や娘のバニーを初めて保育園に連れて行くので大忙しだ。

昼になって、娘を迎えに行くが保母たちはそんな娘は知らないという。

兄や警察に知らせ捜索が始まるが、どこからも見つからない。

やがて娘の存在すらアン自身の狂言という疑いが・・・

「ローラ殺人事件」など問題作を次々と映画化させたオーストリアのユダヤ人監督オットー・プレミンジャーが英国に渡って撮影した作品。

はじめは英国らしく牧歌的な音楽を流しているが、娘が行方不明になると音楽がかからず、アンの狂言説が強まる段階でパブのTVは幼児行方不明のニュースをザ・ゾンビーズのロックンロール演奏に切り替えてしまう。そして犯人がサイコパスぶりを発揮するクライマックスでは再び音楽が止んでヒロインたちの歌だけが聞こえる。

サスペンスだからヒッチコック映画と比べてしまうが、バーナード・ハーマンがいない分、サスペンスが高まる段階で音楽が入らずかえって静かなのが印象的。

またイタリアの巨匠アントニオーニ監督の「欲望」も英国映画だが、ジャズミュージシャンのハービー・ハンコックを音楽監督に起用してバンドシーンはヤードバーズ(ジミー・ペイジとジェフ・ベックのツインリードギター)だったのも思い出した。

プレミンジャー監督がヒッチコック監督の「サイコ」から5年後の1965年にサスペンス映画を米国映画でなく英国映画で撮ったのは、こういう静かな演出を狙っていたからだろうか。

それからローレンス・オリヴィエのメイクが大人しくて初めは誰だかわからなかった。

監督:オットー・プレミンジャー
脚本:ジョン・モーティマー、ペネロープ・モーティマー
原作:イヴリン・パイパー 『バニー・レークは行方不明』

配役

キャロル・リンレー(ポセイドン・アドベンチャー)
キア・デュリア  (2011年宇宙の旅)
ノエル・カワード (劇作家)
ローレンス・オリヴィエ (嵐が丘、レベッカ、ハムレット、リチャード三世)
ザ・ゾンビーズ

クライブ・レヴィル

バニー・レークは行方不明 1965 英国

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