ゾンビ映画のひな型を作った映画監督ジョージ・A・ロメロが亡くなった。ニューヨーク生まれでカーネギーメロン大学に進学した秀才だ。享年77歳ということだ。
彼が作ったゾンビ映画第一作『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968)は予算10万ドルに対して、興行収入3000万ドルを叩き出し世界中で大ヒットした。
あらすじ:
ピッツバーグの農村に兄と二人で墓参でやって来たバーバラ。ところが墓地でゾンビ1号と出会い、兄は石に頭を打ち付けられ倒れる。バーバラは何とか民家に逃げ込むが、周囲のゾンビは増える一方である。さらにその家の二階にも頭蓋骨を晒す死体があった。
驚いたバーバラは逃げ出そうとするが、そこへ若い黒人ベンが逃げてくる。ショックで虚ろなバーバラを放置して、ベンは窓に家中の板を張ってバリケードにして、ラジオで外部の情報を得る。各地で同様の事件は起きており、被害者は食べられた跡があるという。そのときバーバラが叫び、地下から人間が出てきた。地下室には五人の男女がいた。五人のうち三人はクーパー親娘で娘は怪我をして動けない。残る二人はトムとジュディで恋人同士だという。彼らが現れたおかげで、一階にいていつでも逃げ出すというベン派と地下室で救助を待つクーパー派に分裂して人間関係がギクシャクし始める。報道により近くに避難所が開設されたことを知り、ベン、トムとジュディは車で出発するが、給油の際の火災で爆発が起きトムとジュディが死ぬ。ベンは命からがら逃げ帰ってくるが、クーパーとの溝は深く、銃の奪い合いが起きてベンはクーパーを射殺してしまう。そして妻ヘレンは娘カレンの元に戻ると、娘はゾンビ化しており母を殺してしまい、バーバラもゾンビの群れに連れ去られる。
(そして最後に残ったベンがどうなったかは、映画を観て下さい。この時代特有のブラックユーモアです)
監督・原案・撮影: ジョージ・A・ロメロ
製作: ラッセル・ストライナー 、カール・ハードマン
脚本: ジョン・A・ルッソ
出演:
デュアン・ジョーンズ
ジュディス・オディア
カール・ハードマン
ここで現れるゾンビは全く怖くなく、動く速度だけでなく映画の展開も非常にスローである。またあまり人間とゾンビの違いが感じられず、進撃の巨人に現れる間抜け面の「巨人たち」のようだ。しかし感染症であり理性を失い人間を食べ、殺すにはヘッドショットしかないことは今と同じである。
ゾンビ(=リビングデッド)自体は昔から有る概念だったが、ロメロ監督がこのような作品を作らなければ、ゾンビは現在のようなポピュラリティを持たなかった。この第1作は1968年以降のホラー映画の方向付けを決定したわけで、感慨深いものがある。言い換えればロメロ作品を見ていれば、ホラー嫌いはお腹一杯という気もするw。