1939年にルイ15世の愛妾デュバリー夫人を描いて、ブロードウェイでヒットした同名ミュージカルを、アーサー・フリードが製作したミュージカル映画で、レッド・スケルトンの出世作である。
原作戯曲はB・G・デシルヴァとハーバート・フィールズ、これをアーヴィング・ブレッチャーが脚色し、ロイ・デル・ルースが監督に当った。
音楽は、舞台で用いたコール・ポーターの歌曲のほかに数曲を加えている。振付は「イースター・パレード」のチャールズ・ウォルターズ。
主演はレッド・スケルトン、ルシル・ボール、共演はジーン・ケリー、ヴァージニア・オブライエン。
ビッグ・バンドのリーダーであるトミー・ドーシーがバンドとともに出演している。
あらすじ
女優メイ・デイリーは、ナイトクラブ「プティット」のスターで、今はフランス革命で悪名高い「デュバリー夫人」のタイトルロールを演じて、大ヒットを飛ばしていた。
クローク係のルイとウェイターのアレクは、メイに夢中だった。しかし、貧困生活を知っているメイは、金持ちと結婚すると宣言していた。
ある日、ルイは万馬券を当てたので、メイに求婚する。
メイは、アレクの方を好きだったが、宣言していた以上ルイと結婚しようと考える。
ルイは、二人の結婚に反対するアレクに睡眠薬を一服飲ませて、その隙にメイと結婚してしまおうと考える。ところが、間違って自分のコップに薬を入れてしまい、すっかり眠ってしまう。
ルイは夢で、18世紀のフランスでルイ15世になっていて、メイは愛人デュバリー夫人になっていた。アレクは、王に楯突く革命派の首領ブラックアローになっていて、ある日デュバリー夫人宅に侵入する事件を起こす。デュバリー夫人は、その夜、お忍びで次女とともにブラックアローの集会に出席する・・・。
雑感
劇中劇「デュバリー夫人」を効果的に使ったミュージカル映画だ。しかもその舞台に、いつの間にか夢の中でナイトクラブの職員たちが登場する。
この映画で主役を演じたコメディアンのレッド・スケルトンは、ジーン・ケリーよりも映画主役デビューは早かった。スケルトンは、スケールの大きな舞台でこそ映えると思っている人も多かったが、1938年ハリウッドに来てからの彼は、テレビ向きのコント役者、つまり画面の中の仕事に満足しているように見えた。
ジーン・ケリーは、まだ主役ではなかったが、この頃は準主役でダイナミックなダンスを見せて注目を浴びていた。
若い頃のルシル・ポールは、あまり美人に見えない。特に中年になってからのテレビバラエティー「ルーシー・ショー」吹き替え版で声優高橋和枝の声を聞いているから、あのガチャガチャ声にピッタリのルシル・ポールが、ますます美人だと思わない。
彼女より、脇役のバージニア・オブライエンの方がずっと好感をもてる。
舞台版ではバート・ラー、エセル・マーマン、ベティ・グレイブルが出演していた。
スタッフ
製作 アーサー・フリード
監督 ロイ・デル・ルース
脚色 アーヴィング・ブレッチャー
脚本 ナンシー・ハミルトン
原作戯曲 ハーバート・フィールズ、バディー・G・デシルヴァ
音楽・作詞 コール・ポーター
音楽監督 ジョージー・ストール
振付 チャールズ・ウォルターズ
撮影 カール・フロイント
共同色彩監督 ヘンリー・ジャッファ
キャスト
ルイス・ブロア/ルイ15世 レッド・スケルトン
メイ・デリー/デュバリー夫人 ルシル・ボール
アレク・ハウ/ブラックアロウ ジーン・ケリー
ジニー/侍女 ヴァージニア・オブライエン
チャーリー・ドーフィン ラグ・ラグランド
トミー・ドーシー/宮廷楽団指揮者 トミー・ドーシー
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そこでデュバリーは、ブラックアローの男らしさに惚れ込む。深夜、革命派と軍の間で争いが起こり、ブラック・アローは逮捕される。翌日、ブラックアローは死刑の宣告が下る。デュバリーは、彼の助命を嘆願し、王はこれを許す。しかし処刑を求める宰相が反対して宮廷クーデターを起こす。
ルイは、ここで目が覚めた。夢の中で、メイが本当に愛しているのはアレクと知ったルイは、メイをアレクに譲る。競馬の賞金の一部をお祝いに渡そうとしたが、税務署が徴収に来る。