1990年に逮捕された連続殺人犯アイリーン・ウォーノスと友人ティリス・ムーアの事件にインスパイアされて作られた犯罪ロードムービーである。しかし上映後、裁判になってから明らかになった事実は映画とは全く違うものだった。

監督はリドリー・スコット(エイリアン、ブレイドランナー、グラディエイター)で、脚本のカーリ・クーリアカデミー脚本賞を受賞した。

またブレイク前のブラッド・ピットが出演していることでも有名。

 

あらすじ

専業主婦テルマ(ジーナ・デイビス)とウェイトレスのルイーズ(スーザン・サランドン)は親友同士。アメリカ南部アーカンソーの田舎町で暮らしていた。ある日、二人で旅行に出る。しかしレストランで悪酔いしたテルマは駐車場で男に襲われる。それを目撃したルイーズは銃を構えテルマを解放した後も、なお減らず口を叩いた男を射殺する。周囲に証人はおらず過剰防衛で有罪になる恐れがあったために、ルイーズは咄嗟にテルマを連れて車で逃亡する。

テルマとルイーズはアメリカを離れメキシコを目指して逃避行を続けるが、世間知らずなテルマはルイーズの足を引っ張る。惚れっぽいテルマは、ヒッチハイカーのJ.D.(ブラッド・ピット)に抱かれてすっかり気を許すが、J.D.は二人の持ち金を盗んで消えてしまう。

しかしそのことで目が覚めたテルマは逆に行動的になり、雑貨店に強盗に入り逃亡資金を調達する。さらにパトカーにスピード違反でルイーズが捕まると、逆に銃を構えて警官を脅しトランクに押し込めてしまう。

このように二人は無法者と化して余罪を重ねていくが、アーカンソー州警のハル警部(ハーヴェイ・カイテル)は最初の事件が正当防衛だと直観していた。いよいよ二人がコロラド方面に逃げた事が明らかになり、逮捕も時間の問題になった。ハルは、二人が無茶をしないように説得するためFBIに掛け合い、他州での捜査にヘリで参加する。

しかしパトカーとライフルに追い詰められたテルマとルイーズは、ハルの説得も聞かず、グランドキャニオンの断崖絶壁から車でダイブしたのだった。

雑感

二人は、何故アーカンソーからメキシコに直行せず、テキサスを迂回してニューメキシコからメキシコに入るコースを選んだかというと、ルイーズが以前テキサスでレイプされた経験があるから。それぐらい、レイプは心に傷を残すものなのだ。

この映画は、90年代の女性版ニューアメリカンシネマと言われている。60年代後半のニューアメリカンシネマで、最後に男性主人公が死んだり殺されるものが多かったからだろう。

ラストシーンで初めて二人は精神的自由を得たという解説が見られたが、まともな教育を受けられないアメリカ南部の闇を見た気がして、読んでいて悲しくなった。

アメリカ南部のロード・ムービーだから、ドライブシーンで掛かるハンス・ジンマーの音楽やグレン・フライなどの曲が効果的に働いている。サントラは聴く価値がある。

スタッフ

監督・製作: リドリー・スコット
製作: ミミ・ポーク
脚本: カーリー・クーリ
撮影: エイドリアン・ビドル
音楽: ハンス・ジマー
主題歌: グレン・フライ  “Part Of Me, Part Of You”

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配役

ルイーズ  スーザン・サランドン
テルマ   ジーナ・デイヴィス
ハル警部  ハーヴェイ・カイテル
ジミー(ルイーズの恋人) マイケル・マドセン
ダリル(テルマの夫) クリストファー・マクドナルド
J.D.     ブラッド・ピット

 

テルマとルイーズ (Thelma & Louise) 1991 MGM配給 女性版アメリカン・ニューシネマ

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