全米でベストセラーを記録したノンフィクション小説を映画化。高校教師ジム・モリスが、35歳でメジャーリーグ・デビューを果たした実話に基づいている。
監督はジョン・リー・ハンコック、脚本はマイク・リッチ。
主演はメグ・ライアンと別れたばかりのデニス・クエイド。
共演はオーストラリア人女優レイチェル・グリフィス、ブライアン・コックス。
あらすじ
ジム・モリスは、父が海軍に勤めていたせいで各地を転々として育った。高校では野球クラブが無いため、プレーできなかった。大学でやっと野球ができるようになると、メキメキ頭角を表す。そしてプロ野球のマイナー・リーグでプレイするが、肩を壊してしまい球速は目に見えて落ちてしまい、解雇される。
10年後のモリスは今、高校教師をしながら、野球クラブチームの監督をしている。
学生のチームは、今年もシーズン開始から負けている。モリスは彼らに何でも良いから「夢を持て」と言う。
モリスは投げることを医者に止められていたが、不甲斐ない学生に喝を入れるため、本気でバッティング・ピッチャーをする。ところが34歳の左腕の球速は、若い頃より早くなっており、学生や息子のハンターは驚く。
そして、学生は口々に「監督こそメジャーリーグへの夢を諦めている」と言い出す。そして学生は、もし地区大会で優勝して州大会に出場したら、モリスがプロ野球の入団テストを受ける約束をさせる。
学生は、モリスの豪速球で練習をするうちに、野球に対して前向きに取り組むようになっていく。そして、チームは地区大会で優勝した、州大会一回戦で敗れるが、
学生から今度は、監督の番だと急かされる。モリスは、妻ロリーには秘密で、最弱球団であるタンパベイ・デビルレイズの入団テストを受けに行く。
ジム・モリスの戻った球速にスカウト陣は面食らう。速度計は、156kmを指していたのだ。球団にとっては、貴重な左腕の中継ぎやワンポイントとして使えそうだ。
球団からすぐに連絡があり、妻ロリーにはバレてしまう。しかしプロ入りとなると、テキサスからフロリダ州タンパベイに単身赴任することになる。
モリスは、母と別れて今は退役した父にアドバイスをもらいにいった。しかし、父のアドバイスはいつもと同じで、「もはや夢を追う年ではない」というものだった。
しかしロリーは、モリスがやりたいことをやるべきだと言う。おかげで、モリスは再びメジャーを目指して挑戦を続けることにする・・・。
雑感
ジム・モリスだけでなく、彼の家族や友人、教え子達との人間模様が描かれている。
特に前半は、高校野球の監督としてのジム・モリスと学生の地区大会優勝を賭けた戦いを丹念に描いている。
後半に入って入団テストに合格して、ジムがマイナーチームの一員となってからは、マイナーでの苦しい生活が描かれ、ジムはハラスメントに会い、もう辞めようと何度も思う。しかし、子供たちが応援してくれるので言い出せない。
そのうち、デビルレイズで左の中継ぎが必要ということになり、急遽メジャーに呼ばれる。それが、地元のテキサス州アーリントン・パークなんて球団の憎い演出だ。
故障が治って、球速が戻った人は多いが、一度辞めたプロ野球を再び目指そうという選手は少ない。第一の理由は、体があの厳しい生活を拒否すること。
ところが、ジム・モリスは野球が好きだから、高校教師という安定した職業を捨てても、35歳になって挑戦した。
そして、アメリカという国は、こういう挑戦者を受け入れてくれる。そこは、アメリカの偉いところだ。
日本だったら、35歳の新人より18歳の新人の将来性に賭けるものだ。そして大概その賭けは失敗する。誰にも平等にチャンスを与えるべきだ。
ジム・モリス本人も審判役でカメオ出演していた。
デニス・クエイドの投球フォームは格好良かった。ちなみにこの映画を選んだのは、レイチェル・グリフィスが妻役で出演していたからである。
スタッフ
監督 ジョン・リー・ハンコック
製作 ゴードン・グレイ、マーク・チアルディ、マーク・ジョンソン
製作総指揮 フィリップ・スチュワート
脚本 マイク・リッチ
撮影 ジョン・シュワルツマン
音楽 カーター・バーウェル
音楽監修 ジョン・ビッセル
キャスト
ジム・モリス デニス・クエイド
妻ロリ レイチェル・グリフィス
ジムの父 ブライアン・コックス
母オライン ベス・グラント
ワック ジェイ・ヘルナンデス
ハンター アンガス・ティー・ジョーンズ
ルディ リック・ゴンザレス
ジョー チャド・リンドバーグ
ジョエル（部活の捕手） アンジェロ・スピッツィーリ
***
モリスが単身赴任した先は、マイナーリーグの目立たない練習球場だった。人より良い成績を上げて、そこから抜け出すしかないのである。モリスは、若い同僚からのハラスメントを受けながらも、マイナーリーグの試合で実績を上げていく。
ある日、モリスが試合を終えるとメジャーのデビルレイズから次のレンジャーズ戦（アーリントン）に召集がかかる。すぐ飛行機でアーリントン入りだ。
搭乗前のモリスは、慌てて妻ロリーに電話をかける。
試合が始まると、スタジアムにはモリスの友人、家族、教え子の大群がやってくる。試合は、デビルレイズが大敗する流れになっていた。ついにモリスがメジャーのマウンドに立つ。歓声は凄まじく、モリスは三振を奪う。敗戦が決まっても、モリスは報道陣に囲まれる。
その時に、父の姿を見かける。父は、息子の晴れ姿を見に来たと言ってくれた。ジムは、ボールを父に渡す。
モリスはその後、デビルレイズで2シーズンを投げて、引退してテキサスに戻った。
