昔見たけど、すっかり忘れていた。
母親役はマリア・シェルだったのだな。
ワンシーンだったが、ドイツものには欠かせない。
ネタバレあり。
ピーターはケネディ大統領が暗殺された日、偶然ハンブルグであるユダヤ系老人の自殺を取材した。
老人は日記を書き残しており、リガ収容所時代の所長ロシュマンを見かけたという。
ロシュマンは戦犯で、英国に一度逮捕されたが脱走していた。
ピーターは興味を持ち、調べるうちにオデッサという元親衛隊をかくまうために設立された秘密結社を知る。
彼はユダヤ人の協力を得て、オデッサの潜入捜査を試みる。
ミュンヘンで身元が割れそうになるが、刺客を返り討ちにして、オデッサファイルといわれる名簿を手に入れる。
ロシュマンの現在の変名と身分を割り出したピーターは、単身ロシュマンの元へ乗り込む。
実はピーターの父はドイツ正規軍の大尉であり、ロシュマンに殺されていた。
最近当ブログは、たまった在庫を一掃するため、「日の当たらない日本映画劇場」風になっていたが、久しぶりに38年前のアメリカ冒険映画を採り上げた。
最初だけ見るとユダヤとイスラムの対決する映画だと思う人もいるかも知れないが、これは一応ドイツ人が同胞に復讐するのがオチだ。
日本とドイツの戦争責任のあり方のちがいについて考えさせられる。
「うらんでいるのは個人である」という台詞があるが、
ドイツでは戦争は国家責任でなく、個人の犯罪なのだ。
その点、日本は個人という概念が確立されていなかったから、いつまでたっても国全体が非難される。
しかし、ドイツも第一次世界大戦後の狂気の時代は、個人と国家の境界が曖昧だったと思う。
それでも許されるのは、長い間、国家が東西に二分されて罰が与えられたからだろう。
日本も第三次世界大戦を起こして敗れれば、大国に分割統治されるだろう。
映画は、実話に基づいてフレデリック・フォーサイスが著した小説を映画化している。
実話だから、ドキュメンタリータッチで意外に盛り上がりに欠ける。
同じ原作者の「ジャッカルの日」と比べると、緊迫感で落ちる。
ほぼ出ずっぱり主演のジョン・ヴォイトを見たのは、年代順では「真夜中のカーボーイ」以来だった。
彼がドイツ系アメリカ人といわれると「えっ、そうなの」と変な感じがする。
でも近影を見ると、ドイツ人っぽく赤ら顔に老けてきたようだ。
敵役のマクシミリアン・シェルはジュール・ダッシン監督の「トプカピ」以来10年ぶりの再見。
すごく老けたというか、老け役を作っている。
音楽はアンドリュー・ロイド・ウェーバーだからだろうか、音の出だしにはっとするところがあって実にかっこいい。
監督 ロナルド・ニーム (ポセイドン・アドベンチャー)
脚本 ケネス・ロス マーク・スタイン
原作 フレデリック・フォーサイス
製作 ジョン・ウルフ
撮影 オズワルド・モリス
音楽 アンドリュー・ロイド・ウェバー
出演
ジョン・ヴォイト (Petter Miller)
マクシミリアン・シェル (Roschmann)
マリア・シェル
メアリー・タム (Sigi) 英国のテレビ女優だが、2012年亡くなった。美人でもっと映画に出て欲しかった。
永遠のセルマ・リッター
映画を中心に趣味を語り尽くします!