梶山季之の原作小説「影の凶器」より舟橋和郎小滝光郎が脚色し、井上昭が監督した産業スパイ映画
主演は田宮二郎、浜田ゆう子、共演は金子信雄。白黒映画。

黒のシリーズとしては、第九弾。

あらすじ

日本の弱電メーカー大日本電機に勤める片柳は、偶然知りあったれい子と結婚を夢みていた。れい子は株式投資を趣味としており、大日本電機が極秘裏に進めていたRV17作戦について知りたがった。作戦内容について聞かされていなかった片柳は研究施設に落ちていたガラスの破片を拾ってれい子に与えると、彼女はそれをライバル社の太陽電器に持ち込む。太陽電器の黒沼専務は社内研究部門にそれを分析させると、未発表の6インチ・マイクロテレビのブラウン管ということを発見する。れい子は太陽電器の産業スパイだったのだ。
片柳は、ガラス片を拾ったところを戸沼秘書課長に見られたことから、ライバル社の内通者とみなされ会社を馘になってしまった。
片柳は大日本電機と太陽電器への復讐を強く誓った。

三年後、大日本電機の高杉部長が三重県を愛人と旅行中に新型魔法瓶の設計図を入れたカバンを盗まれる。犯人は太陽電器の新藤だ。ところが片柳は尾けていて、カバンの中身を新藤から奪い返すことに成功した。さらに馴染のマリ子を使って、太陽電器の黒沼専務の自宅に女中として住み込ませた。
片柳は、大日本電機の長棟社長に芦屋の愛人宅で面談し、魔法瓶の設計図を300万円で買って欲しいと言った。ところが社長は、そんな設計図はいらないと言う。不審に思った片柳が外に出ると、いきなり暴力団が襲いかかる。彼らを撃退した後、再び社長に会い、設計図を350万円で買わせることに成功した。

次は太陽電器への復讐だ。黒沼家に入ったマリ子かられい子が出入りしていることを知る。早速、太陽電器の新型冷蔵庫に関する情報を大日本電機に五百万円で売りつける。そしてれい子を尾行してマンションを突き止め、体を奪う。

れい子によると、冷蔵庫の設計図は技術部にあるが、明日になれば本社大金庫に仕舞われるらしい。今日中に盗み出さなければならない。
片柳は、技術室へ忍び込もうとする。ところが中庭のスポットライトが片柳を照らし出す。れい子は、やはり寝返ったのだと片柳は気付いた。
ところが、非常口を開けて窮地を救ったのもれい子だった。彼女は彼を見捨てられなかったのだ・・・。

 

雑感

1964年に黒のシリーズは第七弾から第十一弾(最終作)まで全て田宮二郎主演により大映東京製作所あるいは大映京都製作所で作られて公開された。

第九弾の今回は、かなり監督の味が出ていて、スパイ映画風の虚無感が漂っていた。
田宮二郎の髪型は、角刈りっぽくて少しダサい。

今回のヒロインは浜田ゆう子だ。いつも大映の脇役、バンプ役が多いのだが、今回は主人公にとってのファム・ファタール役。田宮二郎を弄び産業スパイの世界に引き摺り込む役割だ。流石にヒロインと言うことで、いつもよりかなり美人である。脇役の時は主役を引き立てるため、メイクで手を抜いていたんだろう。

金子信雄は、1955年以降日活作品にばかり出演していたので、大映作品出演は珍しい。

 

スタッフ

企画  仲野和正
原作  梶山季之「影の凶器」
脚色  舟橋和郎、小滝光郎
監督  井上昭
撮影  森田富士郎

 

キャスト

片柳七郎(大日本電機社員)  田宮二郎
登川れい子   浜田ゆう子
黒沼一徳(太陽電器専務)  金子信雄
戸村(大日本電機労務部長)  根上淳
高杉(部長)  丸山修
新藤(太陽電器スパイ)  島田竜三
長棟(大日本電機社長)  石黒達也
木原マリ子(女中)  十和田翠
別府さとみ  仁木多鶴子
中山京子  若松和子
バーのマダム  真城千都世
黒沼睦子(妻)  阿井美千子
片柳ハツ(母)  小夜福子
黒沼満男(バカ息子)  矢島陽太郎
塚谷(太陽電器社員)  木村玄

 

ネタばれ

マリ子は黒沼の息子と懇ろになったらしい。数日後、マリ子と黒沼の息子が無断で白浜に旅行に出かけると、片柳は息子を誘拐したと言って黒沼を脅す。そして受信アンテナを研究所に近付け、研究所から設計図を送信させるのだ。
しかし片柳の後を、産業スパイを乗せた車が尾けていた。合図と一斉にスパイは襲いかかる。しかし受信機を載せていたのは、大日本電機が仕立てた別の車だった。まんまと片柳に情報を奪われた黒沼は、ほぞを噛む。

翌日、片柳はれい子に会いに行くと、田舎へ帰ったと言う。急いで大阪駅でれい子に追い付くが、れい子は狂言誘拐まで起こして機密を盗む片柳とは結婚できないと言って、伊勢の田舎に去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
黒の凶器 1964 大映京都製作 大映配給 黒のシリーズ第九弾

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