ブロードウェイで上演されたサスペンス不倫劇の映画化。
「千の顔を持つ男」のアイヴァン・ゴッフベン・ロバーツの原作・脚色で、監督はホセ・ファーラー主演「シラノ・ド・ベルジュラク」のマイケル・ゴードン
主演はラナ・ターナー、アンソニー・クイン
共演はサンドラ・ディー、ジョン・サクソン、リチャード・ベースハート

あらすじ

サンフランシスコの海運会社社長キャボットは、不治の病で寝たきりになりながら、そのカリスマ性で経営を掌握していた。後妻のシーラは、性的不能なキャボットに監視され抑圧された生活を送り、いつしか逞しい主治医デビッド・リベラ博士と不倫関係に陥った。しかし夫に離婚を言い出せない。息子マシューの親権を夫に奪われるからだ。
一方メイソン弁護士はキャボット亡き後の会社の実権とシーラの肉体を我が物にせんと狙っていた。家の中ではただ一人先妻の娘キャシーだけが父親を愛していた。

デビッドは、スイスの病院に移るつもりだった。何故なら、このまま憎いキャボットを診ていると、いつか殺してしまうから。ところが、シーラが離さないでと泣きついてリベラに翻意させる。
翌日、デビッドは白昼堂々、シーラと図って空気注射でキャボットを殺害した。医師であるため、自ら自然死の証明を書いて完全犯罪を装う。
しかしデビッドがシーラの愛人だと知っていたメイスンは、葬儀の席でデビッドにスイスに行くことを勧める。シーラはデビッドがスイスへ逃げるのではないかと不安で仕方がない。

社長代理となったメイスンは、キャシーの恋人リチャーズとの取引を無かったことにする。リチャーズは、キャシーを通してキャボットから許可をもらったと主張するが、秘書リーは契約の存在を否定する。リチャーズは捨て台詞を吐いて去る。

そんなときシーラに殺人の成功を祝う脅迫状が届いた。消印はカーメルと言う地名だった。
誰がシーラを脅すのか?デビッドがまず疑いを向けたのは、メイスン弁護士だった。
デビッドは、シーラにメイソンを呼び出させる。デビッドはメイスンの車に向けて発砲するが失敗し、キャボット家に避難したところを射殺した。死体は車ごと断崖から突き落としたが、警察は発見し他殺と認定した。そして警察は、リチャーズが容疑者として勾留される・・・。

雑感

倒叙劇なのだが、誰が脅迫犯人なのか犯人にもわからない。ある人間を脅迫犯人と決めつけて殺した上に他人に罪をなすりつけるが、第二の脅迫状が・・・。
舞台劇らしい、意外性のある結末だった。その舞台ではバーバラ・スタンウィックがファム・ファタールでリチャード・ウィドマークが犯人役として主演したそうだ。
舞台設定は、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画「めまい」を少し意識している。しかし「めまい」のコスト250万ドルと比べると、こちらの「黒い肖像」は140万ドルと、かなり安上がりに済ませている。
二番煎じは良いとしても、カメラワークが平凡だった。当時としては、陰影を大胆に使った作品なのだろうが、今見るとライティングがユニバーサル・ホラーよりも程度の低いものにしか見えない。白黒で撮った方が良かった映画だ。

ラナ・ターナーは1950年代中頃にMGMからフリーになり、娘が愛人を殺すという悲劇にもめげず、ダグラス・サーク監督の名作リバイバル「悲しみは空の彼方に」に次いでこの作品に出演する。しかしアンソニー・クイン共々に役不足だと思った。

サンドラ・ディーは、名作映画「避暑地の出来事」の翌年の作品になる。今から見ると、あんまり可愛く見えないが、当時はアイドルだった。

ジョン・サクソンは、当時の青春スターの一人だった。同年には「許されざる者」でオードリー・ヘップバーン、バート・ランカスターと共演した。
アメリカでの人気が下火になると、欧州映画でも活躍し、1973年「燃えよドラゴン」ではブルース・リーのライバル役として、若い頃から鍛錬してきた空手の腕前を披露した。

秘書役のヴァージニア・グレイは、戦前からの美人女優。戦後はげっそり痩せてしまって単なる老け役になってしまった。

召使役のアンナ・メアリー・ウォンは、映画「上海特急」でマレーネ・ディートリッヒと共演し、自分を犯した革命軍指揮官に復讐する役を演じていた。この映画では、女主人に反感を持つ、謎のありそうな役を好演。

スタッフ

監督 マイケル・ゴードン
製作 ラス・ハンター
脚本 アイヴァン・ゴフ、ベン・ロバーツ
撮影 ラッセル・メッティ
音楽 フランク・スキナー
音楽監修 ジョセフ・ガーシェンソン

キャスト

シーラ・キャボット  ラナ・ターナー
デビッド・リヴェラ医学博士  アンソニー・クイン
先妻の子キャサリン・キャボット  サンドラ・ディー
キャシーの恋人ブラック・リチャード  ジョン・サクソン
ハワード・メイスン弁護士  リチャード・ベイスハート
実子マシュー・キャボット  ロイド・ノーラン
カッブ運転手  レイ・ウォルストン
秘書リー嬢  ヴァージニア・グレイ
子守タウニー   アンナ・メイ・ウォン

ネタばれ

キャシーは犯人をシーラだと思いデビッドに相談するが、丸め込まれる。しかし自責の念に襲われるデビッドはスイスに逃げようとしたが、そこへ第二の脅迫状が来た。脅迫犯人はメイスンでは無かったのだ。
博士は夜逃げしようとした運転手カッブを詰問し、第一の脅迫状を投函した時刻に彼の車でカーメルへいった人物を吐かせた。それはシーラだった。デビッドをスイスに行かせないために仕組んだ狂言だったのだ。
キャシーがこの話を聞き、二階から屋根に逃げ出した。デビッドは追うが、足を滑らせシーラの目の前で転落する。下ではリチャーズがリベラを発見するが、デビッドは息絶えていた。シーラは恋人の死体を茫然と見下ろした。

 

 

黒い肖像 Portrait in Black 1960 ラス・ハンター製作 ユニバーサル配給 ラナ・ターナー主演

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