「私は貝になりたい」といって死刑になった男の話。
昭和33年のTBSドラマの映画化である。
主演はドラマと同じフランキー堺。
実際は戦犯として死刑を目前にして、減刑された加藤哲太郎の原作。
監督の橋本忍が共同脚本。
若い水野久美がスマートな女学生役で出演。
テレビを見た人にとって映画は感動の薄いものだそうだ。
妻役の新珠三千代も影が薄かった。
後半を生放送にしたドラマの凄さを見てしまった人には今ひとつだったと思う。
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ただし、戦争犯罪はやはり戦争犯罪である。
アメリカ判事が日本軍のシステムを知っていようが知っていまいが、アメリカ人の立場で裁く。
そして彼らの後ろには、亡くなったアメリカ兵の遺族がついている。
その罪の大きさに気づかせなくてはいけない。
被害者意識ばかり強調して、バランスの悪い作りになってると感じた。
(もちろん原爆を落とした罪をアメリカは償っていない。
だから片手落ちだという考え方も理解する。)
「陽のあたる場所」、「デッドマン・ウォーキング」のような死刑映画と比べて、「死にたくない」と思って、死んでいくのがこの映画の特徴だ。
キリスト教と仏教の違いかな。
私は貝になりたい 1959 東宝