ジャック・ベッケルが監督したフィルム・ノワール
アルベール・シモナンの原作小説を、シモナン、モーリス・グリッフ、ベッケルの三人が脚色した。

音楽は「巴里の空の下セーヌは流れる」のジャン・ヴィーネ
主演はジャン・ギャバン、ルネ・ダリー、共演はジャンヌ・モロー、ドラ・ドル、リノ・ヴァンチュラ。白黒映画。

あらすじ

老獪なマクスと中年のリトンは、ギャング仲間だ。二人は老後に備えて、オルリ空港に運ばれる5000万フラン相当の金塊強奪した。
ところが、リトンがナイトクラブの女ジョジにうっかり金塊のことを漏らした。ジョジは麻薬中毒で、麻薬密売人アンジェロに喋ってしまったので、マクスとリトンが金塊を持っていることを知られた。アンジェロは早速二人に近付いて金塊の隠し場所をつき止めようとしたが、マクスは尾行を振り払ったので、リトンにもアンジェロを追い返せと言う。

翌朝、マクスは故買商の伯父を訪れ、金塊を現金に変える手筈をつけた。その留守中、リトンはジョジの部屋に行くが、逆にアンジェロ一味に拉致された。マクスはリトンの行方を探すが判らない。そこヘアンジェロから、五千万フランの金塊と交換にリトンを返すという電話がかかって来た・・・。

雑感

ジャック・ベッケル監督の傑作フィルム・ノワール
ジャン・ギャバンだけでなく、プロレスラーだったリノ・ヴァンチュラを重要な役で起用し、さらにジャンヌ・モローを癖のある脇役で起用している。プロデューサーや監督の見る目があったのだろう。
イタリア人は、血縁関係を大事にする感じがあったが、昔のフランス人ギャングは、血縁より義理人情を重んずる日本的ヤクザに近いものを感じた。

マックス(ジャン・ギャバン)の老いも大きなテーマになっている。日本のヤクザ映画が変容したのにも、こういうフランス映画の影響が見られる。たとえば老人問題や人生の悲哀を感じさせるようになった。

主題曲「グリスビーのテーマ」は劇中でたびたびかかっていた。短調のハーモニカを効果的に使った曲で、マックスの老いに対する不安を象徴しているそうだ。

スタッフ

監督、脚色  ジャック・ベッケル
脚色、原作  アルベール・シモナン
脚色  モーリス・グリッフ、ピエール・モンタゼル
音楽  ジャン・ヴィーネ
主題曲  グリスビーのテーマ(ジャン・ヴィーネ)

キャスト

マックス(ギャング)  ジャン・ギャバン
親友リトン  ルネ・ダリー
踊り子ジョジー  ジャンヌ・モロー
踊り子ローラ  ドラ・ドル
幹部アンジェロ  リノ・ヴァンチュラ(ボリーニ名義)
幹部ピエロ  ポール・フランクール
マダム・ブーシェ(ピエロの愛人)  ドニーズ・クレール
ラモン(アンジェロの子分)  ビットリオ・サニポリ
マルコ(マックスの舎弟)  ミシェル・ジュールダン
ベティ(マックスのお気に入り)  マリリン・ビュフェル

ネタばれ

マクスはリトンを救う決意をした。叔父に頼んで、金塊を返してもらう。さらにマクスは、ピエロとマルコを仲間に入れて、金塊を車に積みこんで指定の場所に行く。リトンと交換に金塊を受けとったアンジェロはその場で二人を射殺しようとし、部下が乗り込んだ、もう一台の自動車から手榴弾を放り込む。マクスらは草むらに伏せていて無事だったがマルコが直撃弾を浴びて亡くなった。敵が車を降りて死人を確かめている時に、機関銃を打ち込んで皆殺しにする。さらに敵の車を運転して、アンジェロに近付き機関銃や手榴弾を打ち込む。アンジェロ一味は全員倒れ、金塊を隠した車は燃え上がった。
そこへトラックが近付いてくる。きっと警察に通報するはずだ。相棒のリトンは重傷していて、燃えている自動車のトランクから金塊を取り戻す暇がない。
マクスは、結局リトンを連れて逃げ、ピエロの部屋で医者に見せた。しかし翌日、重傷のリトンは亡くなった。
マクスは親友も老後の安泰した生活も失ったのだ。

現金(げんなま)に手を出すな Touchez Pas Au Grisbi 1954 仏デル・デュカ・フィルム製作 コロナ映画配給 (映配 国内配給1955年)

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