2004年01月31日(土)  No.130
監督 増村保造
製作 武田一義
原作 伊藤整
脚色 白坂依志夫
撮影 村井博

配役:
佐分利信 (真田佐平)
沢村貞子(真田文子)
若尾文子 (真田たか子)
川崎敬三 (種村恭助)
叶順子 (沢井京子)○
左幸子 (西山幸子)

伊藤整の小説の映画化。
その後15年ほど前にも「ラストダンス」の題でテレビドラマ化された。
(フジテレビ系列、児玉清、佐藤オリエ主演)
理科系のセックスと金に関するお話だ。
最近、ノーベル賞を取った田中さんや青色LEDの発明訴訟やら、理系出身者が話題だが、その先駆けになったような話。

☆ネタバレ注意

真田は高分子化学の専門家で三立化学の役員だ。
彼は種村という青年と出会い、彼の研究論文を読むとなかなか面白い。
種村には英訳し投稿することを勧めた。
真田には妻と娘がひとりある。
貧乏研究者だった真田は最近接着剤の研究が当たって役員に抜擢された。
羽振りも良くなり、妻も娘も上流の生活に慣れてきた。
妻はお稽古事で忙しい。
女子大生の娘も派手な生活を始めている。
真田は戦争中の知り合いの西山幸子から連絡をもらった。
彼女とは一度は男と女の仲になったこともあった。
その彼女が夫と死に別れた。
真田は再び彼女の面倒を看てやることにした。
真田家のパーティーで種村は娘のたか子に近づく。
種村は同郷の沢井京子とつきあっていたが、たか子とも関係を持つ。
妻も娘のピアノ教師と浮気してしまう。
種村は真田に防さび剤の研究を手伝って欲しいと言われる。
しかし種村は知り合いの大学教授に、その研究のことについて話すと、種村と二人だけで共同研究にしようと言われる。
その教授はその研究結果を三立化学に売り込み、小遣いを稼いだ。
種村も三立化学に正式採用される。
真田は防さび剤研究失敗の責任を取り役員を降りる。
社員研究員としてやり直しだ。
しかし、役員の座から転がり落ちると、回りの見る目も変わった。
娘が種村に捨てられ、妻もピアノ教師に捨てられた。
妻の不貞を知らされた真田は妻を責めると、妻も夫の浮気を責めた。
真田は家を出て、西山幸子の家に行ったが、相手にされなかった。
再び家に戻った真田だったが、もう一度離れた家族は元通りには戻らない。
種村は最近社長令嬢とつきあっているそうだ。

理科系も人間だから、セックススキャンダルもあるだが、小説で取りあげられることは珍しい。
役員になった途端に、生活が変り、派手になってしまった故の悲劇だ。
潮万太郎演ずる三立化学の社長が気に入った。
いかにも経営のプロで、理系技術者を馬鹿にしている。
それでも真田を役員にしたのは、技術者の志気を考えてのことだろう。
その後ドイツの防さび技術を買ってきたが、そのままでは使えないことがわかっても、誰かが何とかしてくれるだろうと至って脳天気である。
その結果、真田は失敗し、その替わり種村は成功した。
真田が役員辞表を出したことで、いいやっかい払いが出来たと喜んでいる。
沢村貞子が船越英二と浮気をするのには、驚いた。
沢村がよろめくのは違和感があったな。