吉田豊の原作戦艦大和ノ最期
阿部豊監督、八住利雄脚本で映画化した。
東宝「ゴジラ」の前年に、新東宝が撮った特撮映画である。
原作者は東大法学部出の将校で、上官の命令で脱出して、戦後、日本銀行に入り監事にまで出世した。
また大和の能村副長が教道(監修)している。
映画が作られたのは不沈戦艦と言われた大和が沈んで、わずか8年後のことだから、ほぼリアルタイムであった当時でしか描けないこともあっただろう。
クレジット・あらすじ
主役は舟橋元(吉村少尉、原作者の役)、
伊藤第二艦隊司令長官に高田稔、有賀艦長に佐々木孝丸
藤田進が能村副長。軍医長に見明凡太郎、
他に高島忠夫、片山明彦、久我美子、中山昭二、伊沢一郎ら。
「戦争は嫌だ、死ぬの怖い」のような反戦映画ではない。
戦闘員中心、しかも将校を描いている映画だからだ。
はじめ彼らの間で「何故こんなことで死ななければならないのか」と論争はあったが、
一度海の上に出てしまえば、誰も脱走できない。
護衛機もついていない死出の旅だ。
自然と腹は決まってしまう。
私も大和となら、道連れに死ねると思う。
良い死に場所ではないか。
今どき、我々は死に場所に事欠いている。
原作を読んだことはないが、淡々とした名作だそうだ。
それと比べて映画はウェットなところがあった。
しかし最期に沈む大和の甲板から海に投げ出された兵隊たちを、
アメリカの戦闘機が機銃掃射で撃ち殺すシーンは迫力を感じた。
アメリカ軍が鬼のように思えた。
名脇役伊沢一郎が良い味を出していた。
中尉だけど年の割に出世が遅れたタイプだ。嫌な上官だったが、
最期の作戦に入ると妙に人間が丸くなってしまう。

最近、再び角川春樹が映画化した(「男たちの大和」)。