和田アキ子主演の女番長(スケバン)映画。右翼団体がチンピラに命じてボクシングの八百長を仕掛けるが、失敗したことから右翼と暴走族の報復が始まる。ホリプロ映画なので、活躍していたバンドが勢揃いして音楽的にも懐かしい作品。
シリーズ化された第二作以降は日活製作になり、ホリプロの和田アキ子は抜けるが、群像劇となる。
出演は和田浩治范文雀ら。

あらすじ

土曜日の新宿西口の工事現場で若い女の二大グループが対決していた。片方のグループのメイが殴り込み、相手グループのリーダー・トシエらと乱闘がくり広げられた。勝也を頭にする黒シャツ隊なる暴走族がトシエらに加勢した。それを遠巻きに見ていたアコはオートバイに乗って、メイらを助け出した。
メイたちは馴染みのゴーゴー喫茶でたむろする。男勝りのアコは女の子たちにモテモテである。そんな遊びにも飽きがきたメイの恋人道男は右翼団体青勇会に行く。幹部から依頼されて、幼なじみのボクサー・ケリーを抱き込んで八百長させることを引き受けた。ケリーも負けるのは嫌だが、道男のために承知してくれる。
勝也とトシエはメイの仲間を誘拐していたぶる。アコ、メイ、ユリ子らは敵のアジトになだれ込んで大暴れする。しかし青勇会幹部花田が現れ彼女らを追い出す。花田は勝也に道男とともにケリーが裏切らないよう監視することを命ずる。
その試合でケリーはアコや強烈な声援に奮起し、八百長を忘れて相手をKOしてしまう。青勇会は怒り狂い、道男を嬲り殺そうとする。メイは、アコとともに青勇会に殴り込み道夫を助け出す。
黒シャツ隊は町中に道男の行方を探す。マリが彼らに捕まり、なぶりものにされた挙句、口を割らされる。翌日、花田と黒シャツ隊はメイのアジトを急襲し、道男を射殺する。アコとメイはバイクで逃走するが、勝也の赤いバギーが追い詰める。アコはバイクで新宿地下街に潜り込むが、バギーも追ってくる。アコは歩道橋に登るが、バギーも真似をする。最後は地下駐車場でアコが振り切り、バギーは横転する。
アコとメイは馴染みのゴーゴー喫茶に籠城するが、周囲を黒シャツ隊が封鎖してしまう。アコとメイは店から抜け出し、青勇会新宿支部へ急ぐ。そこでは支部長が騒ぎの責任を取らせて、花田を解任していた。嘲り笑った勝也を花田は射殺してしまう。そのすきにアコとメイは支部に潜り込み、花田と対峙する。アコがやろうとするのを制して、メイが花田を刺殺する。しかし銃の暴発でメイも死ぬ。
月曜日の早朝、ユリ子やマリに別れを告げて、さすらいのアコはバイクに乗って新宿から去る。

 

雑感

なかなかお洒落な映画だ。「ハレンチ学園」と同時上映だったのでヒットしたところもあるが、日活の方向性の変わり目を印象づけた作品だった。長谷部安春監督はなかなかセンスが良い。
梶芽衣子(太田雅子)は既に主演級作品を撮っていたが、この作品で本格的に化けた気がする。「野良猫ロック」シリーズ第二作以降も出演し、第三作、第四作では主演を務める。
范文雀もテレビドラマの「サインはV」ではライバル役を勤めていたが、映画でも台湾系らしくエキゾチックな存在感を感じさせて「野良猫ロック」シリーズ第二作で主演を務める。
後に歌番組「ヤング720」のMCを務める久万里由香(真理アンヌの実妹)は体当たりヌードになっていたが、インド系だったからやはりエキゾチックだった。この三人組に和田アキ子を加えたコンビは奇蹟に見えた。

バイクとバギーのカーチェイスは見ものだ。
新宿の地下街で許可を前もって取らず、恐らくゲリラ収録したものだと思う。

ホリプロはGSのスパイダーズ映画で日活と縁が深い。当時は二枚目のシングル「どしゃぶりの雨の中で」がヒットしていた和田アキ子の売り出しにも一役買った。
和田アキ子は既に東映映画「不良番長 一攫千金」が上映されていた。そのときは山城新伍との絡みがあったし、関西弁の台詞だったので、のびのびやっていた。初主演作である、この「野良猫ロック」は関東の言葉を使ったため,借りてきた猫のようだった。
ゴーゴー喫茶では客を前にしてモップス、和田アキ子が英語のロックを、オリーブや全盛期が過ぎたオックスが歌謡ロックを歌い、籠城中にアンドレカンドレ(井上陽水)がフォークソングを一曲歌う。和田アキ子は夜道で珍しく青江三奈風の演歌の主題歌「さすらいのブルース」も歌う。挿入歌「男と女のロック」も和田アキ子である。

 

スタッフ

製作 笹井英男 、 飯島亘
脚本 永原秀一
監督 長谷部安春
撮影 上田宗男
音楽 鈴木邦彦
主題歌・挿入歌 和田アキ子「さすらいのブルース」「男と女のロック」

キャスト

アコ  和田アキ子
メイ  梶芽衣子
道男  和田浩治
ユリ子  范文雀
マリ  久万里由香
花子  十勝花子
ケリー藤山  ケン・サンダース
チンピラ勝也  藤竜也
トシエ 小磯マリ
青勇会の幹部権藤  中丸忠雄
青勇会の幹部花田  睦五郎
(ゲスト)
ザ・モップス 本人
オリーブ  本人
オックス  本人
アンドレ・カンドレ(井上陽水) 本人

女番長 野良猫ロック 1970 ホリプロ製作 日活配給

投稿ナビゲーション