成瀬巳喜男監督作品。
主演の高峰秀子をキャメラの玉井正夫が美しくかっこよく撮っている、佳作だ。
高峰秀子は衣装も兼任である。
粋でいてあでやかな着物姿に目を奪われる。
音楽の黛敏郎も良かった。
しかし脚本(プロデューサー兼任)の菊島隆三が物足りない。
何かとってつけたような台詞が多かった。
生活の重みを感じさせる、さりげない一言がなかった。
高峰秀子はバーのママ。
表向きは死んだ亭主に操を立てているが、裏ではいろいろあったんではないかと想像する。
最初に声をかけてきたのは小沢栄太郎と中村鴈治郎だ。
これは趣味が合わず袖にした。
おかげで小沢栄太郎は女給の淡路恵子に店を持たせて、中村は新人の団令子に小さな店を持たせた。
次に加東大介がママに接近してくる。
ちょうど占いで、高峰はママより家庭の主婦が向いていると言われたところだ。
さらに兄織田政雄が息子の手術代をせびりに来る。
ママでいることが嫌になった。
加東はさえないやもめの工場主という話だった。
優しい男だったのでつい、抱かれてしまう。
しかしその直後、加東に奥さんがいることを知る。
愛していた、銀行支店長森雅之と、ついに一夜を共に過ごすが、森は大阪へ急に転勤すると言う。
高峰は寂しさで泣き崩れる。
それを見てマネージャーで性格の陰険そうな仲代達矢が結婚してくれと迫るが、高峰に職場結婚する気はないのだった。
いろいろ男を試してみて、やっぱり女の生きる道は仕事しかないと言うことだ。

男優ではどれも期待通りの働きで、言い換えれば意外性はなく、先が読めてしまった。
しかし高峰が着替えて出てくるシーンは、いつも引きつけられるものがあった。
男優は着物の引き立て役でしかない。
次は女優だ。バー・カールトンのオーナーは細川ちか子、好きな大女優である。
最初に藤木悠と結婚して静岡に行ってしまうのが、横山道代。これも大好き。
女給たちも多士済々、鴈治郎をたらし込んで店を出させた団令子北川町子中北千枝子柳川慶子若林映子まで揃っている。
忘れるところだったが、塩沢登代路(とき)もいた。
こんなに個性的な女の子を揃えていて、ママはする仕事がなかっただろうか。
いや、客あしらいは若い子に任せて、ママは人望でチームをまとめていた。
この時代の映画は、脚本が落ちても、役者の魅力だけで十分見せられる。

女が階段を上る時 東宝 1960

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