グレタ・ガルボメルヴィン・ダグラスと「ニノチカ」に続いて主演する映画で、ルドヴィグ・フルダ原作戯曲を基にしてS・N・ベールマン、ザルカ・フィアテルジョージ・オッペンハイマーと脚本を書き下ろし、ジョージ・キューカーが監督したラヴ・コメディ映画。
原作は1925年にロナルド・コールマンが主演した「亭主教育」として映画化された。

共演はコンスタンス・ベネットローランド・ヤングルース・ゴードン(「ローズマリーの赤ちゃん」「ハロルドとモード」)、ロバート・スターリング

あらすじ

山小屋で休暇を取っていたニューヨークの雑誌社社長ラリーは、スキーに出かけたまま消息がない。知らせを聞いて副社長ミラーが秘書エリス嬢と探しに行く。するとラリーはスウェーデン人のスキー教師カリンと結婚して山小屋で一夜をともに過ごしていたのだ。
初夜にラリーは都会生活をやめて山で作家活動に入るとカリンに約束していた。ところがニューヨークの雑誌社はラリーがいないと回らない。ひとまずカリン一人を残してラリーとミラー一行はニューヨークへ帰る。それ以来ラリーは、何かにつけて忙しいと称して一向にカリンのもとに戻ってこない。

カリンはエリス嬢と連絡してニューヨークにやって来る。スタイルの良いカリンは早速ニューヨーク・スタイルに身を包む。そしてエリスはラリーが劇場にいると教えてしまう。その場に行って驚かせようとしたが、ラリーはお芝居の稽古中に女優に色目を使っていた。劇作家グリセルダもラリーに夢中で、彼を手放すつもりはない。カリンは絶望してしまい、このままアルプスに帰るから自分が来たことを誰にも知らせないでとエリス嬢に頼む。ところが、そこにミラーが現われてカリンに出会ったので、エリス嬢は思わずカリンの双子の妹で、性格が真逆のキャサリンだと紹介する。

ミラーはキャサリンを気に入り、ナイトクラブに案内したいと言う。ラリーもそこにやって来ると言うので、彼女は承知する。思った通りラリーはグリセルダと遊んでいた。蓮っ葉な女になりすましたキャサリンは、純情な姉のもとに帰るようにラリーを説いた。そのおかげでラリーがグリセルダと別れたのは良いが、今度はキャサリンを口説き始める。しかし翌日ラリーにも良心の呵責が起きて、カリンの承諾を得るためアルプスへ行って関係を清算すると・・・。

雑感

この映画は失敗して当時としては記録的な赤字を出し、グレタ・ガルボは結果的に次の映画に出演せずに引退してしまう。
しかしそれには日本にも責任がある。映画の公開時期と日本の真珠湾攻撃が重なったからだ。
1939年「ニノチカ」と同じ主役カップルで、柳の下にドジョウを狙ったのだが、タイミングが悪かった。個人的にはグレタ・ガルボが笑っただけで評価されてしまった「ニノチカ」と比べて、こっちの方がより面白いと思う。その証拠に一般大衆の不評とうらはらに米国批評家会議賞主演女優賞を受賞している。

実際のグレタ・ガルボはスウェーデン国籍のまま活動していたため、戦争中の映画出演が難しくなった。スウェーデンは長く(冷戦後、欧州連合に参加するまで)永世中立国だったため、英米と比べてナチス・ドイツとは非常に近い立場にあったのだ。
スウェーデン出身の後輩イングリッド・バーグマンは戦前にドイツ映画にも出演していたため、戦中は率先して反独、反ファシスト映画(「カサブランカ」「誰がために鐘は鳴る」)に出演し自分の立場を鮮明にした。そのためハリウッドで生き残ることが出来た。(しかし戦後ロベルト・ロッセリーニとの不倫騒動でハリウッドを一旦追われる)。
ガルボは、戦後になればまた映画に出演できると考えていた。1948年にはバルザック原作の「ランジェ公爵夫人」への出演が予定されていたが、資金面での頓挫により実現は成らなかった。その時点で彼女の映画出演への情熱は枯れたと思われ、名作「サンセット大通り」への出演を断っている。

映画も見せ場であるダンスシーンで偶然から彼女が編み出すのが、ラ・チカチョコ(Chiko Choko Rumba)という踊りだ。スキー教師だがダンスは苦手という彼女は自分なりのリズムを取って周囲を巻き込む。このシーンは、彼女の魅力を見事に引き出している。音楽自体はトッド・ブラウニング監督の恐怖映画「The Devil-Doll」の主題歌として既出のものである。
登場する雪山は、ネヴァダ州のシェラネバダ山脈西端の都市リノにある。

スタッフ

監督 ジョージ・キューカー
製作 ゴットフリード・ラインハルト
脚本 S・N・ベールマン、ザルカ・フィアテル、ジョージ・オッペンハイマー
原案 ルドヴィグ・ブルダ
撮影 ジョセフ・ルッテンバーグ
作曲 ブロニスロー・ケイパー

キャスト

スキー教師カリン  グレタ・ガルボ
雑誌社社長ラリー  メルヴィン・ダグラス
作家グリゼルダ  コンスタンス・ベネット
ミラー副社長  ローランド・ヤング
優男ディック・ウィリアムズ  ロバート・スターリング
秘書エリス嬢  ルース・ゴードン
ダンバー嬢  フランセス・カーソン

ネタばれ

彼女が慌てて山小屋に帰って見ると列車の旅だった筈のラリーは先に来ていた。彼女はラリーに抱きしめられると、忘我の境地に達してベッドを共にしてしまう。翌朝を迎えると、ペディキュアを取っていないことでカリンがキャサリンと同一人物だとバレてしまう。しかしカリンを揶揄ってやろうと、別れ話を持ち出す。カリンはキャサリンと同一人物だと告白するが、ラリーは一笑に付す。
怒ったカリンはスキーで外に飛び出すが、これには度が過ぎたと反省しラリーも後を追う。ところが急勾配のためにブレーキが掛からずラリーはカリンを追い越してしまい、池に突っ込む。カリンがスキーを伸ばしてラリーを助けて、二人は抱き合って愛を確かめ合う。

 

 

 

 

 

奥様は顔が二つ Two-Faced Woman 1941 MGM製作・配給 セントラル映画社国内配給(1948) グレタ・ガルボの引退作

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