まず、数寄屋橋の上で佇む春樹(佐田啓二)の回想に合わせて第一部の復習。それから春樹は梢(小林トシ子)、アサ(野添ひとみ)と落ち合う。終戦直後の貧困から二人を救うために手を染めた密輸の罪で刑務所に入っていた加瀬田(笠智衆)が出獄したので、今日はお祝いなのだ。加瀬田たちも人形町の果物商店を譲ってもらうことになり、無事にやっていけそうだ。春樹は心置きなく北海道へ渡ることができる。夜行列車で旅立つ際に綾(淡島千景)が一人見送りにやって来る。綾は鳥羽の水沢から手紙を託されていて、そこには姉悠起枝(月丘夢路)が行方不明と書かれていた。実は、悠起枝は高級街娼に身をやつしていて、料亭で商売をしようとして綾に捕まった。一方、真知子(岸恵子)は伊豆へ夫濱口(川喜田雄二)と来ていたが、ついに流産してしまう。
春樹は先輩の経営する北海道の牧場の厄介になっていた。そこでアイヌ人のユミ(北原三枝)と出会う。ユミは情熱的な女で、内地の女を忘れさせると息巻いている。
真知子は姑にネチネチと痛めつけられる。あまりの酷さに真知子は佐渡のおば信枝(望月優子)にSOSの電報を出す。信枝は濱口に「母親と別居してくれ」と言う。しかし濱口のマザコンは治らなかった。真知子は佐渡に帰ると言うが、濱口は(プライド故に)別れる気は無いと宣言する。
綾は、春樹から聞いていた果物店へ行き、梢、アサと出会う。そして同じ身の上の春樹の姉を預ける。
摩周湖の誓い:
アイヌは互いに好きな人ができると摩周湖に向かってお祈りをして結ばれる。ユミは春樹と肌を合わせようとするが、春樹は拒絶する。しかしユミは二人は誓ったと言って去って行く。
姉の見合い結婚:
加瀬田の計らいで見合い話がまとまりかけるが、街娼時代の元締めである横山(三井弘次)に見つかってしまう。悠起枝を助けたのは加瀬田だった。彼は横山を池に投げ落とすが、打ち所が悪かったため、重傷で病院に担ぎ込まれ加瀬田は警察に留置される。悠起枝は世話になった加瀬田のためにも警察で全てを打ち明けようとする。見合い相手も興信所で調査してもらいそのことを既に知っていた。二人はともに警察の門をくぐる。
佐渡から再び上京:
綾は真知子に、北海道で春樹が結婚することを教える。真知子は早速東京の役所で、濱口に離婚をしてくれと言う。勿論濱口は聞く耳を持たない。
一方、春樹は姉の結婚式で上京する。帰りの車で数寄屋橋を通ったちょうどそのとき、真知子は橋の上で夜霧に紛れて春樹のことを思い出していた。
真知子はそのまま春樹を訪ねて北海道の牧場へ渡る。そこでユミと出会い、修羅場がある。一方、上司(柳永二郎)が真知子とたまたま函館で会って相談を受け、濱口家を訪れる。真知子は直接上司に家族の内情をぶちまけたようだ。これには濱口もキレてしまい、真知子を黙らせるつもりで弁護士を尋ねる。
北海道での再会:
やがて東京での用事を済ませた春樹が牧場に帰って来る。春樹はユミに歓待されるが、その後ろに真知子が立っていた。春樹は真知子に寄り添い、もはやユミを相手にしていない。ユミは敗北を悟るが、摩周湖に誓いを立ててしまった以上アイヌの村にも帰られない。思い余って摩周湖に飛び込む。真知子には東京の裁判所から出頭命令が来た。真知子は再び泣く泣く春樹と離れ離れになる。
北原三枝が「イヨマンテの夜」「黒百合の歌」を本格的ソプラノで歌うシーンがある。もちろん口パクだ。彼女の演技を見て、アイヌ人の印象が大きく変わった。シベリアに住む人はデルスウザーラみたいな素朴な人たちだと考えていたのに、アイヌ人はまるで琉球人のように情熱的に見えたのだ。また内地人の牧場主とアイヌ人の主従関係が垣間見えた。
姑・市川春代のいじめが前作にも増して強烈だ。ストレートに嫌味を言うから、わかりやすくてよろしい。素晴らしい女優さんだ。引退間際はウルトラセブン第24話「北へ還れ!」でフルハシ隊員の母を演じ、窮地に陥っているフルハシをマイク越しに応援するシーンは涙無くしては見られない。彼女のようなベテラン悪役がこの映画の成功を担っている。
もう一人の重要な悪役が川喜田雄二だ。高級官僚だから世間体が大事、儒教教育はしっかり受けているから母親も大事と価値観は明らかである。こんな難しい男と一緒にさせたほうが悪い。
この作品の現代における評価は低い。しかし上演当時もそうだったのか。前作第1部から3ヶ月後、待ちに待った続編で2曲もヒット曲を生み出した。だから当時は人気があったと思われる。何しろ臥薪嘗胆を強いられた国民なのだから、これぐらいの終わり方で「見て損した、もう二度と見ねえ」とは思わないのだ。今の人間は我慢を知らなすぎる。
またこの映画はラジオドラマを基にしているので、ごく短い期間で場面が大きく切り替わる。ラジオドラマでは場面転換なぞ南極から北極まででもあっという間に済んでしまう。特に映画の前半は目まぐるしく場面転換が行われる。それが短気な現代人から見ても、気忙しいのだろう。
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