2004年01月11日(日)
No.105

配役
高峰秀子 (片山秋子)
小林桂樹 (片山道夫)
原泉 (秋子の母たま)
草笛光子 (秋子の姉信子)
沼田曜一 (秋子の弟弘一)
監督 松山善三
製作 藤本真澄 / 角田健一郎
脚本 松山善三
撮影 玉井正夫
音楽 林光

 

 
秋子(高峰秀子)は寺の嫁で聾唖者。しかし終戦のどさくさで亭主が発疹チフスになり死んでしまう。仕方なく母(原泉)の元に戻る。
聾唖者の集まりで道夫(小林桂樹)が秋子に声を掛けた。道夫は昔から秋子のことが好きだったそうだ。秋子も悪からず思っているが、踏ん切りが付かない。
そんなとき駅員にキセルを疑われて道夫が殴られる事件が起きた。これを契機に、聾唖者二人で力を合わせて生きていかないと、この世は渡れぬ、と秋子は覚悟を決める。
二人の祝言は慎ましいものだった。早速子どもが出来るが、子どもの泣き叫ぶ声が聞こえず死なせてしまう。道夫の会社も倒産して、靴磨き生活だ。
そこへ秋子の母が家財道具背負ってやってきた。息子が勝手に家を売ってしまって行くところがないと言う。秋子はまた子どもが出来るから私たちを助けてね、と言った。道夫も子どもの話は聞かされておらず、びっくりした。
二人目の子ども一郎はすくすく育った。健康優良児三等賞ももらった。道夫も靴磨きをやめ、植字工を始めた。秋子も母にミシンを買ってもらい洋裁の仕事を始めた。
一郎は小学一年生。反抗期だ。母親の言うことを聞かない。それどころか母親を決して友達に会わせようとはしない。
また遊ぶ金ほしさに秋子の弟が大事なミシンを売り飛ばしてしまった。この時期が高峰にはもっとも辛い時期だった。
やがて息子も五年生になって落ち着いてきた。友人を家に呼ぶようになった。秋子も一郎の友人と仲良くなった。
ミシンは月賦で買い戻した。洋裁の手間賃が安すぎると、息子が怒鳴り込むと、店の親父は少し値上げしてくれた。
今日は卒業式だ。僕は来年だけど、そのときは総代をやるからねと一郎は言う。高峰が窓の外から卒業式を覗いてると、母が息せき切って飛んできた。戦時中可愛がったあきらちゃんが、自衛隊に入って、制服姿凛々しくやってきたのだ。良いことが重なって、学校から家まで一目散に走った。道へ飛び出すとトラックが・・・
新学期、息子が母の思い出を作文にして語っていた。帰りの市場で父と合流した。サンマを三尾買った。この子がいれば安心だ。しっかり者だもの。

 

松山監督の名作映画。手話中心の静かな映画だ。
子どもを生むか生まないか、終戦で時期が悪いし苦しみ抜いて結論を出して、思い切って生んだら、すぐ死んじゃう。
しばらくしてまた出産し、ようやく育った子が、ませたガキで、母親の言うことなんか聞きやしない。それでも大きくなってくると、しっかりした子どもに育っていく。
先だったお母さんも思い残すことはなかったのではないかな。

 

 
この映画は母親の映画だと思う。母親の気持ちが素直に出た良い映画だ。
原泉が好演、一郎の小学校一年生を演じたのは「お早よう」の次男坊だ。
ともに難しい役どころを演じきった。
草笛光子は珍しい悪役。出てくる多くの人は悪役だ。
なおアメリカでも上演されたので、エンディングが何種類かあるようだ。