監督 吉村公三郎
脚色 木下恵介(初脚本)
 
配役
北川徳太郎  藤野秀夫
妻お近  葛城文子
長男健一郎  笠智衆
次男要二  日守新一
三男良三  伊東光一
四男四郎  磯野秋雄
妹すえ子  大塚君代
石岡孫次郎 岩田祐吉
清岡代議士 上山草人
老爺久作 水島亮太郎
大勝堂主人 坂本武
娘由紀子 東山光子
学友佐竹 細川俊夫 ○
要二の妻房子 森川まさみ ◎
おぬい 忍節子
 
ネタバレあり—
父は選挙違反を起こし、罪に問われ獄死する。
残された妻と四人の息子、それに一人の娘は様々な苦労をするが、長男のがんばりで立派に成長する。
長男は工場で真面目に働いている。
三男はシナへ出兵し、四男は大学生、妹は工場で働いている。
しかし次男だけは定職も持たず、選挙運動で一稼ぎしようと企む。
四男は学費に困るが次男は人に甘えるな、自分のことは自分でしろと冷たくいう。
仕方なく四男は血を売って学費を作り、疲れで勉強に身が入らない。
血を売ってるとは知らない、長男は心配するが、四男はそんな兄に当たる。
長男も怒るが、訓練空襲警報の中、彼らは和解する。
やがて娘の縁談話が持ち上がる。
娘は家族に迷惑をかけまいと、即座に行きますという。
娘の結婚式の日、次男が選挙違反で逮捕される。
「あんな奴は他人だ」と言う四男に、長男は叱る。
どんな不始末でも、弟の責任は長男である彼が果たすつもりだった。
四男の卒業式の日、次男の罰金刑が決まる。
罰金を払うために、長男は会社を退職する。
替わりに四男が入社するが、会社では長男の人望を惜しんで復帰させるつもりだ。

 
松竹家族劇。
実に助け合う家族愛が麗しい。
 
笠智衆が珍しく年齢相応の役で好演。
後に小津作品「戸田家の兄妹」でも母を演じた葛城文子がここでも母を演ずる。
他に細川俊夫が四男の学友を演ずる。この人は若い頃も、「光速エスパー」(父親役)の頃と全く変わらない。
女優では次男の嫁役の森川まさみが綺麗だった。
 

木下恵介の初脚本が、ひとつ年上の吉村公三郎監督の長回しとClose-upの併用をうまく引き出している。
それとも吉村が書き換えさせたのか。
どちらにせよ、いいコンビだと思う。

 

家族みんなが苦労している中で、ただ一人ただ飯を食う四男坊の焦りもしっかり描いていた。
頭のいい人でなきゃ、こうは書けない。

 

吉村公三郎も初期の監督作品だが、特徴は出ていた。

 

時代はシナ事変より少し後、大東亜戦争より二年あまり前である。
しかし既に訓練空襲警報があり、金銀の徴用もはじまっていた。
まだアメリカと開戦する以前である。
中国が空襲してくるわけがない。
来るべきアメリカ戦を念頭に置いた空襲訓練だろう。
戦中は竹槍をついてB29を落とすイメージがあったが、実はきちんと対策を取っていた。
良識ある人間も政府にはいたのだ。
(もっともおおかたの日本人はこの訓練を楽しんでいたと言う話である。
しかし楽しんだにしろ訓練することで大勢の命が助かったのも事実だ。)

 

それに引き替え、戦後はどうだろう。
阪神大震災があったのに未だに住民全員参加の防災訓練を行ってない。
戦前戦中を見習うべきではないか。