1965年以来ブロードウェイでロングランを重ねていたミュージカルを、テレビ出身のアーサー・ヒラー(製作・監督)が映画化。
時代遅れの騎士をモデルにした劇中劇による、宗教改革のお話だ。
当時すでに、このようなミュージカル映画自体が時代遅れで、ものの見事に失敗した。
脚本:デイル・ワッサーマン(舞台と同じ)
出演:
ピーター・オトゥール
ソフィア・ローレン
ジェームズ・ココ
スペインもルネッサンスの嵐が吹こうとしていた。
セルバンテスは教会に反抗した罪で逮捕される。
彼は、牢獄内で著書「ドンキホーテ」のことを尋ねられた。
ドンキホーテは金持ちの老人である。
彼はすっかりぼけてしまい、自分を騎士だと思い込んでいる。
彼は従者のサンチョと旅に出るが、風車を怪物だと思って、槍を突き立てる。
ドンキホーテは飯炊き女のアルドンサと出会った。
しかし彼は、彼女が貴婦人ドルシネアだ、と言って聞かない。

映画の失敗は単に時代のせいだけではなく、監督の責任も大きい。
舞台ならピーター・オトゥールの老人メイクも遠目に見られるが、映画だとアップが嘘っぽい。
1933年上映、世紀のバス歌手シャリアピン主演の「ドンキホーテ」の方が、何倍も素晴らしかった。
そんな詰まらない「ラ・マンチャの男」でも、最後にドンキホーテが病床で歌う「見果てぬ夢」は、なぜかぼろぼろと泣けてしまう。
アルドンサ役のソフィア・ローレンが名演だ。
主役風を吹かすことなく、他の俳優とバランスを取っていた。
イタリア映画でマルチェロ・マストロヤンニと共演したときとは大違いだ。
歌は吹き替えだろうか。

日本では松本幸四郎の舞台「ラマンチャの男」が有名。
2002年、ついに娘の松たか子が(それまではアントニアの役だったが)アルドンサを演じた。

ラ・マンチャの男 1972 ユナイト&イタリア

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