96年度カンヌ映画祭監督賞、アカデミー主演女優賞を取った「ファーゴ」をご紹介しよう。ファーゴとはミネソタの小さな町。そこで起きた実話に基づいて、コーエン兄弟が脚本を書き兄ジョエル・コーエン(バートンフィンク、ビッグリボウスキ)がメガホンを取った作品。

しがない車のセールスマン、ジェリーは、女房と義父に頭が上がらない。美味しい投資話を見つけたのだが、義父はまったく相手にもしてくれない。そこで彼はヤクザに女房を誘拐させ、身代金を分け合う計画を立てる。ところが実行犯グループは、へまばかりやらかし、逃走中に何人もの人を殺してしまう羽目に。どんどん計画よりも大事になってしまい、ジェリーの手には負えなくなってしまう。一方、警察も事件とジェリーを結びつけ始め、ジェリーの身辺に捜査の手が伸び始める。

典型的なクライムストーリー、ディテクティブストーリーだ。犯人は最初からわかっていて、ところが犯人の思うようには事件が進まず、どんどん事が大事になってしまうパターン。作り事なら、良くあるケースだが、これが実話なのである。

見所というほどではないが、捜査をするのが、敏腕刑事ではなく、妊娠中の警察署長(Fマクドーマンド、この演技でオスカー)だ。そして彼女の私生活では、家族らと食べるシーンばかり。ホームドラマを巧みに交えるのは警察ものでは常道だが、女の方が警察署長という辺りが、新鮮みを感じる。また実行犯のスティーブ・ブシェーミが、いい味を出してる。ラウルジュリアとジェリールイスを足したって感じのコメディアン。

冬のミネソタの話だから、雪の中のシーンが大部分。天候によって、いろんな表情を見せる、雪の白さにも注目して欲しい。何にしろコーエン兄弟は今が旬だ。