70歳を越えてなおシンプルで若々しい作品を創り出すエリック・ロメール監督が、パリの若い男女のあり方を3話のオムニバスで描くラブ・コメディ

製作はフランソワーズ・エチュガレー。前作「木と市長と文化会館 または七つの偶然」のスタッフを再集結させた。

主演はクララ・ベラール、オーロール・ロシェ、ベネディクト・ロワイヤン

第三話のタイトル「母と子1907年」はパブロ・ピカソの絵画の題名から。

あらすじ

第一話「7時の約束」

女学生エステルは試験前なので、なかなか恋人オラスと会えない。カフェで彼が女の子とデートしているという話を男友達フェリックスに聞かされ、エステルは気分が悪くなる。女友達エルミオーネに相談すると、オラスの前で自分の好きだと言う気持ちを態度に出し過ぎと注意される。
市場で買い物中のエステルはイケメンにナンパされる。そこでオラスがデートしていた例のカフェで夜7時に会う約束をする。その直後彼女は財布がないのに気づき、あの男にスラれたと思い込む。
夕方、アリシーという学生が空になった財布を届けてくれた。彼女も7時に例のカフェで待ち合わせがあるというので、エステルは一緒にいく。もしあの男がノコノコやって来たら、スリではないと言うことだ・・・。

第二話「パリのベンチ」

彼はパリ郊外に住む教師である。パリで同棲中の愛人がいる彼女を愛していて、彼女もまんざらでない態度を取る。九月に二人は昼間に散歩する。それが彼女は楽しかったのか、その後も頻繁に二人はパリのあちこちの公園で散歩デートを重ねる。次第に密着するようになり、彼は彼女を自宅に連れていきたいが、彼とルームシェアしている男が彼女は嫌だと言う。

十一月のある日、愛人が田舎の結婚式で留守にするので、彼女はパリにあるホテルに泊まろうと提案する。しかしそのホテルの前で、彼女は結婚式に出席しているはずの愛人が女とホテルに入るところを発見する・・・。

 

第三話「母と子1907年」

パリに住む画家のアトリエを、スウェーデン人の娘が訪ねてくる。彼女は美大生で、近所のピカソ美術館を見るために来たのだ。彼女はインテリア・デザイナを目指しているため絵を家具に合わせて選ぶと言ったが、画家である彼には気に触る発言だった。
彼は早速彼女を美術館に連れていく。ピカソのような絵を見ると仕事に差し支えるので、夜八時にカフェで再会する約束をしておいて、アトリエに戻ろうとする。
彼は若い女とすれ違うが、なかなかの美人である。彼女は何とピカソ美術館に入っていき、名画「母と子1907年」の前に座り込み、何かメモを取っている。彼はスウェーデンの娘と合流し、その絵の前で画家らしい講釈をする。若い女が席を立って美術館を出ると、彼も美術館を飛び出し彼女に声を掛ける。
彼女は新婚妻であった。監修者として出版する母子をテーマにした画集の色彩を確かめるため、原画と比べていたのだ。でも彼は諦めきれない。彼女を自分のアトリエに誘うと、彼女は警戒しながらも付いてくる・・・。

雑感

パリのエスプリを利かせたロメールのパリ案内映画。パリってあの頃、気の利いた施設はあまり無かったはず。でもパリの恋人たちは散歩するだけで十分楽しめた。

どの話もヒロインは超美人だ。第一話のクララ・べラールと第三話のベネディクト・ロワイヤンのどちらも良いが、やはり人妻の魅力を見せて消えたロワイヤンを取る。例えペチャパイでも、フェロモンが画面を越えて匂うようだ。

それと比べて、男役は第一話のアントワーヌ・バズラー(情けない二股男)、第二話のセルジュ・レンコ(散歩に連れて行く犬のような存在)、第三話のミカエル・クラフト(描く絵も冴えないし、女運もない)は、いずれも三枚目ばかり。

どの話も女が男を袖にする話だが、最後のミカエル・クラフトだけは「さあ、明日も頑張ろう」と思って寝るのだろう。打たれ強く、1番ずぶとそうだった。

幕間の狂言回し役は男女二人組の大道歌手。

スタッフ

監督、脚本  エリック・ロメール
製作  フランソワーズ・エチュガレー
撮影  ディアーヌ・バラティエ

キャスト

(第一部)
エスター  クララ・ベラール
恋人オラス  アントワーヌ・バズラー
市場の男  マチアス・メガール 
アリシー(財布を拾う娘)  ジュディット・シャンセル
フェリックス(オラスのことをチクる)  マルコム・コンラット 
友人エルミオーネ  セシル・パレ
カフェのボーイ  オリビエ・プジョール

(第二部)
彼女  オーロール・ロシェ
彼  セルジュ・レンコ

(第三部)
中年の画家   ミカエル・クラフト
若い女  ベネディクト・ロワイヤン
スウェーデンの娘  ヴェロニカ・ヨハンソン

ネタばれ

第一話

アリシーを待っていたのは、やはりオラスだった。エステルは彼に愛想が尽きて、南仏にバカンスに出かけると言って去る。アリシーも事情を察して席を立つ。
入れ替わりにその席に例のイケメン青年が腰掛け、人待ち顔でビールを注文する。

第二話

彼の方は、彼氏と別れる理由ができたねと喜んだ。彼女は、彼氏がいなければ、あなたなんか必要ないと言い捨てて、去っていった。

第三話

中で二人は絵画論を交わすが、彼女は画家の絵から何一つ感じなかったようだ。何事も起きないまま女は去ってしまう。
仕方なく画家は作業を再開する。暗くなったのでスウェーデン娘と待ち合わせたカフェに行くが、結局娘にすっぽかされる。画家はアトリエに戻り、絵の中の人物一人を何とか完成させ、「今日一日、無駄でなかった」と独りごちた。

 

 

 

 

 

パリのランデブー Les Rendez-vous de Paris 1994 カンパニー・エリック・ロメール製作 ロサンジュ映画配給 シネセゾン国内配給(1995)

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