川上宗薫が書いた青春小説「先生・先輩・後輩」を佐伯幸三監督が爽やかなミュージカル映画に仕立てた。(シネスコ、カラー)

音楽は平岡精二構成は渡辺プロ社長渡辺晋自らが担当し、振り付けは「ウェスト・サイド・ストーリー」の振付師ラウル・アペルを招聘した。

当時、渡辺プロに所属していた中尾ミエ、伊東ゆかり、園まりの3人組が主演で、女子高校生に扮している。この3人は後に紅白歌合戦にも二回出場し、スパーク三人娘と呼ばれて、紅白歌合戦でも3人組として1963年から2年連続で出場している。なおスパークは商品名である森永スパークコーラが元になったので、紅白でその名を呼ばれることはなかった。

相手役は第一プロ(現ノーリーズン)の第2期スリー・ファンキーズ(うっかり八兵衛こと高橋元太郎が抜けて手塚しげおが参加している)。
さらにクレイジー・キャッツ、高島忠夫、田辺靖雄、藤山陽子、若林映子らが共演している。

翌年、東宝は映画「君も出世ができる」(主演:高島忠夫、雪村いずみ、フランキー堺)で大人の鑑賞に耐えるミュージカルに方向転換したが、個人的には「ハイハイ3人娘」の方がミュージカルとしてはるかに楽しかった。

それは13曲もの歌が聞けたこと、さらにストーリーが今で言う日常推理小説であり、脚本の出来が良かったからだ。

 

 

Synopsis:

高校二年生の今日子、千恵子、悠子の3人組は歌が大好きな仲良しコンビ。今日も英語のテスト前だというのに、互いに歌を聴かせ合っている。
夕方の6時に、今日子あてに電話が掛かってきた。声は水原弘そっくりで、今日子が好きだというのだ。いったい誰が?

まず仲良しの同級生内村、折口、浦の三人が容疑者リストにあがった。しかし3人が今日子宅に来ている間も6時なると電話が掛かってきた。そこで今日子たちは独身の大塚先生飯田先生を疑うことにした。ところが大塚先生は今日子の姉の早苗と恋人同士だった。そこで千恵子と悠子は飯田先生を徹底的にマークして、午後6時に公衆電話から誰かに電話しているところを確認した。今日子は飯田先生が相手と聞いて満更でもなかった。

文化祭が近付き、内村が家庭の都合で転校することが決まる。文化祭で内村らが歌う歌を学校のオープンリールで録音してチェックしていると、水原弘の声でラブコールが既に録音されていた。したがって自分は掛けなくても、誰かに依頼して電話を掛けることは出来た。これで3人の容疑も復活した。しかし折口は千恵子をデートに誘う。

文化祭での3人娘のショーは大成功した。いよいよ行きつけの喫茶店で内村の送別会だ。しかし今日子は今日こそ男子学生3人組か飯田先生か、誰が犯人かをハッキリさせたかった。そこで飯田先生は体育の山野辺先生と婚約したことを報告する。これには今日子もがっかりだ。すると、千恵子と付き合う折口を除いた2人のどちらかと言うことになる。

ところが自供したのは折口だった。女子たちは呆気にとられる。折口は誰かのために電話を掛けたと悟った飯田先生は、今日の夜6時に自分の声で電話を掛けなさいと犯人に諭すのだった。

 

 

 

Impression:

主役3人のキャラクターは完全に分かれていて、中尾ミエは勝気なツッコミだが色気付いてきた娘、伊東ゆかりは色気より食い気のボーイッシュな娘、まりはマイペースでちょっとボケている娘だ。それはおそらく3人の実際のキャラクターや年齢から来るものだ。

中尾ミエの役柄の家族構成は産婦人科診療所経営の父が植木等、母北川町子、姉が藤山陽子で弟が田辺靖雄という超豪華ラインアップだ。

学校長は「愛染かつら」の婦長さんだった岡村文子、教頭はハナ肇、生物の先生は高島忠夫、英語の先生は江原達よし、体育の先生は若林映子。

こういうところが、東宝アイドル映画の見どころだ。

さらにこの映画の魅力は歌唱ショーのような構成である。90分足らずの上映時間に日本語で13曲も歌っている。
スパーク3人娘に限って言うと、中尾ミエのソロが2曲、伊東ゆかのソロ1曲、園まりのソロ1曲、3人のコーラス曲が2曲だ。その振付はウェストサイドストーリーと比べると大したことはないが、専門ダンサーに歌手たちが合わせようとする努力のほどは十分窺える。

構成は、次の通り。(判らない曲のタイトルは適当に付けた)
ハイそれまでよ」 スパーク3人娘+スリーファンキーズ
レディになったのよ」 伊東ゆかり
マイ・ボーイフレンド」 園まり
「アイアイアイアー」 長沢純
「雲にきいておくれよ」 田辺靖雄
やせがまん節」 植木等
6時になると」 中尾ミエ
あの子かな、この子かな」 スリーファンキーズ
「山へ行こうぜ」 水原弘
五万節〜学園祭バージョン」 クレージーキャッツ
星をあげましょう」 中尾ミエ
青い空を見あげて」 スパーク3人娘 + 演舞
ハイハイ3人娘」 スパーク3人娘

スパーク3人娘はフジテレビ・バラエティ「森永スパーク・ショー」のマスコット・ガールとして1962年に生まれた。初めは第一プロの沢リリ子がメンバーだったが、番組途中で当時渡辺プロのまりと交代している。その後、3人はフジテレビのミュージカル風テレビドラマ「レッツ・ゴー三人娘」で主演し、この映画出演に至る。いかにナベプロ、東宝、フジテレビが彼女らに力を入れていたか、わかるだろう。

中尾ミエはすでに映画「夢で逢いましょ」に主演していたし紅白歌合戦にも単独で出演していたので、美空ひばり、江利チエミ、雪村いずみのような三人娘にされることは内心嫌だったようだ。年下だが芸歴ははるかに長い(1958年11才でデビューした) 伊東ゆかりは別格として、とくに年上の園まりと相性が悪かった。この映画でも三人の振付部分で中尾ミエは伊東ゆかりの前に被ることはなかったが、園まりの前に被ることは多かった。

 

 

Staff/Cast:

監督 佐伯幸三
製作 杉原貞雄
原作 川上宗薫
脚色 井手俊郎
撮影 梁井潤
音楽 平岡精二
構成 渡辺晋
振付 ラウル・アペル (ウェストサイド・ストーリー)
美術 小島基司

 

 

出演
(スクープ3人娘)
中尾ミエ
 間宮今日子
伊東ゆかり 天野千恵子
園まり 江藤悠子

(スリーファンキーズ)
長沢純
 内村満春
手塚しげお 折口敬治
高倉一志 浦太一

(間宮家の人々)
植木等 間宮甲太郎
北川町子 間宮房江
藤山陽子 間宮早苗
田辺靖雄 間宮雅義

(天野家の人々)
谷啓 天野清一郎
横山道代 天野静代

(学校関係者)
ハナ肇 江藤教頭
高島忠夫 飯田幸四郎
江原達怡 大塚先生
若林映子 山野辺先生
夏洋一 同級生岡本和雄

 

ハイハイ3人娘 1963 東宝宝塚 「チャオ! 若さいっぱいスパーク娘颯爽登場!」

投稿ナビゲーション