カルメン故郷に帰る」のストリッパー・カルメン嬢の後日を描く続編

九ヶ月ぶりにフランスから帰国した木下恵介監督の帰国第一回作品。製作は小倉武志が当たり、撮影は楠田浩之、音楽はフランス帰りの黛敏郎木下忠司が共同して担当している。

主演は高峰秀子
共演は小林トシ子、若原雅夫、淡島千景、三好栄子、北原三枝。
「カルメン」シリーズ第一弾と違いカラーではなく、モノクロ映像である。

ストーリー

浅草のストリッパー、カルメンと一緒にいた朱實(あけみ)は、これから女剣劇の時代と言って、九州に出ていった。しばらくして、赤ん坊を産んで帰ってきた。子供の父親は、共産主義の活動家で、警察に追われて地下に潜ってしまったと言う。
生活していかなければならない二人は赤ん坊をお屋敷前に捨てた。しかし、火事騒ぎで急に心配になり、戻ってくる。

パリ帰りの須藤は、女中キクが屋敷の前で拾った捨て子を情婦レイ子の子だと思っていた。しかしカルメンと朱実により、生活に困り一時の気の迷いで捨ててしまったと告白する。
須藤と知合ったカルメンは、彼の生み出す現代美術に感激する。ところが、カルメンは須藤に惚れてしまうと、彼にモデルを頼まれても裸になれなくなった。

須藤は総選挙に立候補している佐竹熊子女史の娘千鳥と、持参金目当に婚約している。ある日、須藤は熊子女史を案内してストリップ小屋に現れた。客席に須藤を見付けたカルメンは恥ずかしくて裸になれず、クビになってしまった・・・。

雑感

アメリカから7年ぶりに独立し、日本自体の再軍備が焦点になった昭和27年の第25回総選挙だったが、自由党をはじめ保守派が過半数を得て吉田連立内閣が成立する。この背景に政治のことに興味のないカルメンが、政治家関係者に振り回される話でもある。

このドラマのキーパーソンは、俳優座所属である東山千恵子だと思う。再軍備論が盛んに論じられていた頃、彼女は原爆経験者だったのか、すぐ原爆が落ちてくると言って頭の中で爆弾が落ちる音が聞こえて来るのだ。
それが、軍人の妻熊子女史やアプレの千鳥と対立し、ついにクビにされてしまう。
そしてラストシーンでカルメンと朱実に再会し、選挙結果を大いに嘆いていた。

淡島千景高峰秀子はどちらも大好きな日本の女優だ。年齢では2ヶ月淡島が年上。芸歴は子役からの高峰だが、片や天下の宝塚歌劇団出身である。
彼女らのの共演作は、他に1961年の成瀬巳喜男監督作品「妻として女として」がある。これも高峰が愛人役だ。「カルメン純情す」よりもガッツリぶつかっているから、映画としては好きな方だ。
二人に逆のパターン(高峰が正妻で、淡島が妾)があっても良かったのだが、それっきり映画では共演はないはずだ。

北原三枝は、1952年にニューフェイスから松竹に入った。早速この映画でデビューした。しかし、合わなかったようで54年にアクションに移行する前の日活に移籍した。(58)

スタッフ

製作  小倉武志
脚本、監督  木下惠介
撮影  楠田浩之
音楽  黛敏郎、木下忠司
主題歌 ビゼー「カルメン」

キャスト

カルメン(ストリッパー)  高峰秀子
須藤(シュールレアリズムの芸術家)  若原雅夫
千鳥(須藤の幼馴染で婚約者)  淡島千景
朱實(あけみ)  小林トシ子
須藤の父  斎藤達雄
須藤の母  村瀬幸子
須藤家の女中きく(反核)  東山千栄子
熊子女史(千鳥の母で総選挙候補)  三好栄子
管理人野村  日守新一
ラッキー屋の親爺  坂本武
ラッキー屋の女房  高松栄子
熊子の忠僕山下  竹田法一
牛島(須藤の友人)  増田順二
新島(須藤の友人)  須賀不二男
細井レイ子(須藤の愛人)  北原三枝
朱實の彼氏(赤)  磯野秋雄
劇場のマネージャー  多々良純
ポン引の女  望月優子

***

ヨイトマケやらさまざまな仕事を経験し、アパートの管理人の推薦でカルメンは朱實と近所のラッキー食堂に勤めるようになった。
熊子女史の許に、千鳥と須藤の結婚を呪う手紙が送られてくる。カルメンから送られたと誤解した熊子女史がラッキー食堂に怒鳴りこむ。須藤が自分を愛していると勘ちがいした彼女は、身をひいて千鳥との結婚を祝福すると誓った。
しかし、須藤は財産目当てに千鳥と結婚する気であり、千鳥も毎晩相手を変えて寝ているアプレゲールだったのだ。
カルメンはラッキー食堂もクビになり、ひと目須藤に会いたくて屋敷に訪問する。すると須藤と千鳥が喧嘩をしてるところで、てっきり自分のために揉めていると思い込んだカルメンは、千鳥に謝罪し、元の鞘に戻ってくださいと懇願する。
やがてカルメンと朱實は、サンドイッチマンの職を得て都心を回っていると、選挙演説会場に朱實の旦那が現れ、熊子女史の再軍備政策に対してしつこい野次で絡んでいた。カルメンは、人のことより自分が責任取りなさいと怒ると、朱実が待てというのも聞かず、元旦那は脱兎の如く逃げ出した。熊子女史は喜んで、カルメンを壇上に上げて応援演説をさせる。カルメンは熊子ではなく須藤の芸術や人柄を讃えるのだった。
選挙も終わり、須藤家の女中きくは失業して靴磨きをしていた。新聞を読むと再軍備賛成の自由党が選挙に勝っていた。そこへ、サンドイッチマンの格好をしたカルメンと朱実が通りかかったので、きくは「日本にまた原爆が落とされるのでしょうか」と話しかける。

カルメン純情す 1952 松竹大船製作 松竹配給 – 高峰秀子の「カルメン」シリーズ第二弾

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