「休暇」の方があとから作られたものと思っていた。
ジャック・タチ監督がアメリカに行った経験を生かして、映画史上に残る傑作を取った。
もちろん、自ら主演している。
アカデミー外国語映画賞、カンヌ審査員特別賞、キネマ旬報2位。
定職を持たないユロ氏(ジャック・タチ)はいつも古いコートと帽子、自転車に乗って、甥と遊ぶのが楽しみ。
しかし義兄は彼の身を固めさせようと一計を講じる。
お見合いの場である義兄の超近代的な自宅に連れてこられるが、彼にはボタンだらけの仕組みが理解できず、しくじる。
さらに彼は近代的な工場に派遣されるが、またまた大失敗を犯してしまう。

パリの下町の風景が楽しい。
ユロ氏は近代とは無縁だ。
最後は田舎の支店に飛ばされてしまう。
でもそれも楽しそうではないか。
この映画は独特の間がたまらない。
この間の中で、我々は浮遊感を感じる。
はじめは居心地が悪いのだが、そのうち慣れてしまう。
不思議な空間だ。
ミスター・ビーンとも共通する点はあるが、やはりイギリス人とフランス人では違う。
ミスター・ビーンは彼の周りだけ異空間が現れるが、ジャック・タチの方はパリの下町の間なのだ。ジャック・タチが現れる場所は、どこでもパリの下町の薫りがする。
監督初のカラー作品だ。撮影もなかなか味わいがあった。
アンリ・シュミットの美術(近未来的なオブジェ)が妙な味を出していた。