若い頃の市川崑監督渾身のポリスストーリー。

池部良は新橋の交番巡査。ある日、捕まえた男を取調中に逃がしてしまい列車に轢かれて死なせてしまう。男の妹からは非難され、警察の仕事が嫌になる。そんな彼を叱咤激励したのは同僚の水島道太郎だった。ところが事態は麻薬事件だけでなく、殺人事件に発展する。男の妹まで殺されてしまったのだ。彼女は男が関係していた麻薬密売組織を手伝い、生前池部良に連絡を取ろうとして,手紙まで残していた。池部良は捜査本部入りを志願するが、菅井一郎に時期尚早と言われる。そして捜査員の努力の甲斐があって敵の本拠が判明する。池部良や水島道太郎ら交番巡査たちもついに出動を命じられる。

 

後の市川崑のドキュメンタリーの基になったような映画。
国家警察全面協力で前半は警察官の悩みの大きさや給料の安さをクローズアップしている。
後半、事件が拡大する辺りから警察官の使命感と葛藤を描いている。
御用映画なので警察の暗部は出てこないが、戦時中の憲兵出身者が麻薬組織に関係してくる。

 

黒澤明の「野良犬」同様にジュールス・ダッシンの「裸の町」(1948)を意識してドキュメンタリータッチにしているが、おそらく監督は噂を聞いただけでアメリカ映画自体は見ていないだろう。

「野良犬」と比べると、市川崑が5歳若い分だけ映画の深みで劣っているように感ずる。

 

監督 市川崑
脚本 新藤兼人
製作 田中友幸
配役
池部良
水島道太郎
伊藤雄之助
田崎潤
杉葉子
野上千鶴子
菅井一郎

 

暁の追跡 1950 新東宝

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