2012年の本屋大賞作品で、映画になっても2013年の日本アカデミー賞最優秀作品、キネ旬読者が選ぶベストワン邦画など数多くの国内の映画賞を受けた。
作品自体は地味な作品だが、辞書作りの気が遠くなるほど長く、地味な部分が大部分の日本人にとって新鮮だったのだろう。
馬締は大手出版社で成績低迷している営業マンである。いささかコミュ障の気がある。
ある日、辞書担当のベテラン社員が退社するため代わりに異動を命じられる。
そこでの仕事は辞書監修者松本の元で新たに国語大辞典「大渡海」を発行するのが大目標。
その日から用例採集の日々が始まった。
馬締は慣れない仕事に戸惑いながら日々の仕事をこなしていく。
そんなとき板前を目指す香具矢と出会い、胸がときめく。
頼りにしていた先輩が広告宣伝部門に異動になり、馬締が辞書部門のデスクになってしまった。
他社との折衝もこれからはこなさなければいけなくなった。
しかし一つ一つ粘り強くこなしていき、監修者松本からの信頼も厚くなった。
そうして十数年の月日が経った。馬締は香具矢と結婚した。ファッション雑誌から岸辺も異動してきた。いよいよ辞書も形になりかけてきた。
そんなとき監修者の松本先生が倒れる。
この映画は辞書作りを通して、長い時間を掛けて一つのものをこしらえる姿を淡々と描ききっているだけである。
ラノベの映画化だけにどうしても軽く考えがちだが、映画としての静かな雰囲気作りは成功している。
辞書作りのノウハウを映画で知りたいコアな辞書マニアには、この映画も小説自体も向いていない。
監督 石井裕也
脚本 渡辺謙作
原作 三浦しをん
配役
馬締光也:松田龍平
林香具矢:宮﨑あおい
西岡正志:オダギリジョー
岸辺みどり:黒木華
タケ:渡辺美佐子
三好麗美:池脇千鶴
荒木公平:小林薫
松本朋佑:加藤剛