主演イアン・マッケランが、引退し93歳となった名探偵シャーロック・ホームズを演じるミステリー映画。
最後の事件の謎を解き明かそうと、ホームズが再び推理に挑む姿を描く。
共演ローラ・リニー、真田広之。
監督ビル・コンドン (ドリームガールズ)
あらすじ
93歳となった名探偵シャーロック・ホームズは引退して田舎で養蜂をしながら回顧録を書こうとしていた。記憶力の復活に日本の山椒が良いと聞いてわざわざ被曝後の広島へ向かう。彼は認知症を患っていて、彼を30年前に引退へと追い込んだ事件のことを思い出せないのだ。広島で梅崎という男と出会う・・・。
英国に帰国後、彼は再びペンを取る。
それは妻アンの素行を調べてほしいというある男からの依頼で、彼の人生最大の失態となった事件だった。妻は二人を続けて流産し、二度と子供の埋めない体になってしまった。それ以来、アルモニカという楽器の演奏に夢中になって気を晴らしていたが、アルモニカを霊界との通信に使っていたために夫はアルモニカを禁止してしまう。それでも秘かに妻は教師のもとに通っていた。
ところがそこから事件が思い出せない。ただ妻の写真をもらったため、いつまでも彼女の面影は脳裏にこびり付いている。ホームズは10歳のロジャー少年を新たな養蜂助手に迎え、自らの記憶に対して最後の推理を始める。
そんなある日、ロジャーの母である家政婦マンロー夫人は、ここを辞めてポーツマスのホテルに勤めたいと言い出した。先の長くないホームズ爺さんに仕えても先が見えないと思ったのだろう。
一方で日本での出来事を思い浮かべていた。梅崎は礼儀正しい男だった。山椒を探すために一緒に広島に行った。そこは焼け野原でまだ燃えているところもあった。そこで梅崎は山椒を見つけた。
30年前のホームズは教師の家を抜け出した妻アンを尾け、追い付いてベンチの隣に座った。そこでホームズは正体を見抜かれる。
だいぶ結末に近づいたのだが、最後の答えがわからない。現実のホームズは夜中に薬草を注射しようとするが、立ちくらみがして倒れた。
梅崎とのことをまた思い出していた。戦前に彼の父はシャーロック・ホームズに相談した結果、英国に残れと言われたそうだ。しかしホームズにはその記憶がなかった。
ホームズが休んでいる間もロジャーは蜂の面倒を甲斐甲斐しく見ていた。ある日、ロジャーの様子を見に行くとスズメバチの大群に刺されてショックで倒れていた。
妻アンに正体を見抜かれたが、ホームズは教師宅からここに来るまでにアンが夫のサインを偽造し銀行から預金を引き出したこと、薬局で毒薬を仕入れたこと、さらにお金を墓職人に渡したことを指摘する。墓は自分のためのものだった。彼女は観念し、毒薬の中身を捨て、二人は別れる。ホームズは彼女は夫の元へ戻ったと思ったが、翌日の新聞を見て彼女が列車自殺したことを知る。それ以来、ホームズは自信を失い、30年間も田舎に閉じこもったのだ。
養蜂について自分の後継者と目していたロジャーが人事不省となり、初めて孤独に陥る恐怖を考える。もしロジャーがいなくなったらと思うと・・・。
マンロー夫人は怒りのあまり、蜜蜂を燃やそうとした。ホームズは慌てて止めて、本当に憎むべきはスズメバチの方だと教える。ミツバチは刺したら体内に針が残るが、スズメバチは針を残さない。
ホームズとマンロー夫人は病院でロジャーが気付くのを待った。その間、ホームズは死後マンロー夫人とロジャーに家屋敷を遺すと宣言する。そのときロジャーが気付いたと言う知らせがある。
数日して、ホームズは梅崎に手紙を書いた。彼の父は英国政府の極秘任務で東南アジアを転戦したと。これは嘘だったが、それだけでも遺族の気休めになるだろう。
雑感
第二次世界大戦まで生き延びたがすっかりボケてしまって、過去の事件2つの答がどうしても思い出せなくなったホームズの「過去への旅」の物語だ。
ホームズ物は数多く作られているが、毛色の変わったアプローチで面白かった。
とくに名優イアン・マッケランとガップル四つに組む真田広之は頼もしかった。
日本でのロケは大井川線の鉄道シーンだけだと思う。役者の出るシーンはすべて英国だろう。日本家屋での演出シーンも役者は自然な日本語を喋ってないし、料理屋のシーンはどう考えても中華料理屋にしか見えない。
スタッフ
監督ビル・コンドン
製作アン・ケリー、イエン・カニング、エミール・シャーマン
音楽カーター・バーウェル
原作ミッチ・カリン
脚本ジェフリー・ハッチャー
撮影トビアス・シュリッスラー
キャスト
シャーロック・ホームズ イアン・マッケラン
家政婦マンロー夫人 ローラ・リニー
息子ロジャー マイロ・パーカー
ミスター・ウメザキ 真田広之
アン・ケルモット ハティ・モラハン
夫トーマス・ケルモット パトリック・ケネディ
バリー医師 ロジャー・アラム
楽器教師マダム・シルマー フランシス・デ・ラ・トゥーア
ギルバート警部補 フィル・デイヴィス