ジャン・ジャック・ベネックス監督(「ベティブルー」「ディーバ」)の作品。年齢のことを考えず、水中シーンで張り切ってしまったイブ・モンタンの遺作となってしまった。
ストリート・アーティストのトニーは、黒人の少年ジョジョを連れて、引っ越してしまった片思いの看護婦グロリアを追いかける旅に出かける。
彼らは偶然ヒッチハイクしていたレオン(イブ・モンタン)と出会う。彼は病気を治したり、競馬の予想を当てたりと、何とも不思議な老人である。彼もまた昔の恋人を求めていた。
その恋人のいる街へたどり着くが、彼女は彼と別れてすぐに、この世を去っていた。やがて病に倒れたレオンを彼らは、病院で必死に世話する。グロリアはその姿を見て、はじめてトニーに心を開く。
うーん、イブ・モンタンの張り切りぶりは凄いのだが最後は、はしょりすぎた。グロリアとトニーの関係にしろレオンとジョジョの関係にしろ、何だか突然展開が速過ぎて付いていけない。おそらくイブ・モンタンの病で途中のカットが撮影できなかったのだろう。この映画の失敗で、ジャン・ジャック・ベネックスの映画は日本では掛からなくなる。
一瞬、良いなあと思ったのは、グロリアが飲み屋の窓越しにトニーを見つめるシーンだ。しかしそこに至る心理描写をはしょりすぎているから、感動半分だ。
なお、音楽は相変わらず凝っている。
本国ではイブ・モンタンの遺作を中途半端にしてしまった責任を背負わされて、干されたんだろう。ちなみに次の作品は「オタク」と言って日本のオタク少年を描いたドキュメンタリーだった。
IP5-愛を探す旅人たち(1992, France)