エルヴィス・プレスリーの軍隊生活をヒントに、エドモンド・ベロインとヘンリー・ガーソンのオリジナル脚本をノーマン・タウログが監督したミュージカル映画。
主演はエルヴィス・プレスリー。共演は「カンカン」のジュリエット・プラウズ、ロバート・アイヴァース、レティチア・ローマン。
軍を除隊したプレスリーは、早速芸能界に復帰して新曲を10曲歌う。カラー映画。
あらすじ
西ドイツ駐屯米軍G.I.のタルサ、リックとクッキーは、バンドを組んでいて部隊の人気者だ。除隊したら故郷オクラホマでナイトクラブを始める計画を立てている。
部隊が駐屯したフランクフルトに「オイローパ」というカフェがあり、リリという脚線美の見事なダンサーがいた。タルサの部隊で、彼女を落とした者に300ドルが独り占めする賭けが行われた。
ところが、リリとデートすることになったイケメン兵士がアラスカに転属となり、代わりにタルサが指名された。初めタルサは、乗り気ではなかったが、ナイト・クラブ設立のために資金が必要だった。
タルサは、リリとデートする機会を得て、次第に仲よくなっていった。彼女は、タルサを自分のアパートに誘った。しかし、彼女には同居人で同僚のティナがいたため、タルサの欲求は満たされなかった。
クッキーは、イタリア娘ティナに夢中になった。また、リックには、マーラという恋人がいたが、元の下宿に行っても大家にはそんな娘はいないと追い返される。
タルサの恋は、いよいよ真剣になった。リリも、パペットショーで見せた彼の優しさに心を打たれる。だが、タルサの上官から、リリを落とすことに対して金が賭けられているのを聞く。リリは驚き、再び男性に対して心を閉ざした・・・。
雑感
エルヴィス・プレスリー映画の除隊後第一作。フランクフルトを舞台にした「踊る大紐育」のように3組の男女の恋愛を描くミュージカル映画だ。もちろん、プレスリーが他の二人に比べてフィーチャーされている。
フランクフルトの名所ロケもあり、カラー映画なので、楽しく見ることができる。
パペット・ショーのシーンが印象的で、プレスリーが唯一ドイツのスタンダード・ソングを歌う。具体的には、パペットと共演して、兵士が恋人と別れて戦地に赴く「ムシデン:別れの歌」を歌っている。
このように徴兵前の「影のある青春映画」と比べて、除隊後のプレスリー映画は、かなり明るくなった。加山雄三の東宝「若大将シリーズ」のモデルになったとも考えられる。
この映画の見どころは、もう一つある。名ダンサーであるジュリエット・プラウズが共演している。ベティ・グレイブル以来の脚線美と言われて、フランク・シナトラとシャーリー・マクレーンが主演した「カンカン」に出演した彼女は、早速プレスリー復帰第一弾に起用されたのだ。
彼女はイギリス領インドで生まれた英国人だが、父親の死後すぐ母の母国である南アフリカに移住した。そこでバレーやダンスの手解きを受け、戦後パリでダンサーとして活躍した。アメリカにもその名声は響き渡り、引き抜かれたのだ。
彼女は、映画の収録中にプレスリーと関係を持ったことを告白している。その後は、ラスベガスのショー・ビジネスの世界で大きな成功を収める。
ティナ役のレティチア・ローマンも、マーラ役のジグリット・マイヤーもなかなかの美人だった。
見て損はない作品だ。
スタッフ
監督 ノーマン・タウログ
製作 ハル・B・ウォリス
脚本 エドモンド・ベロイン、ヘンリー・ガーソン
撮影 ロイヤル・グリグス
音楽 ジョセフ・J・リリー
キャスト
タルサ・マッコーリー エルヴィス・プレスリー
リック ジェームズ・ダグラス
クーキー ロバート・アイヴァース
リリ ジュリエット・プラウズ
ティナ レティチア・ローマン
マーラ ジグリット・マイヤー
***
マーラは、誤解からリックを避けていたが、大家に諭されて彼と再会する。すると、マーラもリックにどれだけ愛されているか、ようやく分かり彼の愛を受け入れることにした。彼女は、リックの子供をすでに産んでいた。
二人は結婚式を挙げる間、タルサに赤ん坊のお守りを頼む。困ったタルサは、リリに電話で相談した。リリも事情を聞いて、タルサと赤ん坊をリリのアパートに招く。ちょうどティナは里帰りして、いなかった。リリは、タルサの赤ん坊を可愛がる姿を見て、再び彼に対する愛情を取り戻した。
結局、タルサとリリ、クッキーとティナ、リックとマーラの3カップルがフランクフルトで結ばれたのだ。