京アニが「氷菓」以来小説をもとにした作品「響け!ユーフォニアム」は今季のベストアニメである。
いまや弱小高校となった北宇治高校吹奏楽部が京都府大会を勝ち抜き、次いで関西大会もややラッキーな面もあったが勝ち抜いて全国大会に出場するお話。
アニメ第一期は厳格な新任顧問のもと初めは慣れないオーディションに対する不満、途中で受験のため退部する娘や部員同士の失恋もあったが、最後は部がひとつにまとまって京都府大会を勝ち抜く様子を描いている。
主人公はユーフォニアムという聞き慣れない楽器を吹いている。何事にも達観して冷めていた主人公が親友や顧問から刺激を受けて次第に演奏と青春に目覚めていく姿が鮮烈。
ユーフォニアム(ユーフォ)はチューバを小さくした金管楽器。
オーケストラで使われることはマーラーの「夜の歌」などで使われるぐらいで,一般にはブラスバンド用楽器であり、中低音グループに分けられる。
マイナーなのでこの番組で初めて知った人も多いと思う。
なぜ「氷菓」は連続2クールにしたのに「響け!ユーフォニアム」は1クールにするのかわからなかった。神作画の連続だから休憩が必要だったのか。
実際は京アニには夏休みにBLアニメ「Free!」の劇場版公開という大イベントがあった。BLは今やマンガ、アニメ界を君臨している一大勢力だから仕方がない。
「響け!~」第二巻の重要人物(鎧塚みぞれ)がちらりと映っているし、あすか先輩の闇の部分(第三巻)も描かれていたから伏線は出来ている。二期放送あるいは映画版は確定だと思うが一年間も待たされるのは苦しい。
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さて青春熱血枠は一択だったが、今シーズンも癒やし枠は健在だった。
今季のナンバー2は、前作「きんいろモザイク」から二年、満を持して制作した第2作「ハロー!きんいろモザイク」である。
制作は「咲-阿智賀編」「咲-全国編」のStudio五組。
金髪美少女にあこがれる高校生しのぶのもとへ、イングランドの金髪少女二人が留学してくる。
そこに日本人の友人二人・陽子と綾を交えて、まさにしのぶの高校生活は毎日が幸せ一杯である。
異文化交流のスパイスを若干加えて,笑顔の絶えない癒やしコメディに仕立てている。
第三位は意外にもエロゲをベースにした「グリザイアの迷宮」「グリザイアの楽園」だ。
前作の「グリザイアの果実」は放送が始まる前に見ておいた。学園ものとしえt良くあるパターンだと思ったが、第2作の「迷宮」(1回だけの特別番組)は主人公が親から見放され両親の死後、ロシアの傭兵として育てられ、やがてCIAに保護され米陸軍でスナイパーとして鍛えられた過去を描いている。第3作の「楽園」(連続アニメ)は現代に戻り、第1作で死んだはずの姉が実は生きていて主人公やクラスメートとともにロシアのマフィアを倒すまでを描く。
なかなか壮絶且つスケールの大きい話なので三位に入れた。エロゲも馬鹿にしたものではない。
敢闘賞を取った「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」は大ヒットラノベのアニメ化だ。
ヒロインの女神ヘスティア(声:水瀬いのり)が胸のところを紐で結ぶ姿(ヘスティアの紐)が好評でたちまち話題になった。
ストーリーは「ソードアートオンライン」のようなRPGものに、ギリシャ神話を載せてしまうと言う日本ならではの作品。
ヒーローに声優、松岡禎丞を起用し、第二のヒロイン・アイズに大西沙織を起用したが、意外性は少ない。
でも原作のストックは残っているから第二期に期待したい。
他には飯テロアニメ「食戟のソーマ」も続編が期待される作品だった。
歌唱賞は「響け!ユーフォニアム」の主題歌で歌手TRUE(唐沢美帆)が歌う「Dream Solister」である。乗りの良いブラバン用の曲だ。高校野球でも使われるだろう。