宮川一郎の脚本を、石井輝男が監督したもので、麻薬を使った売春組織で起きた殺人事件を描いたフィルム・ノワール
主演は天知茂、共演は細川俊之、三原葉子、三ツ矢歌子
白黒映画で撮影は吉田重業

 

雑感

赤線が廃止された後で、麻薬で女性を縛り付けてる非合法売春組織を描いている。
低予算だが、フランス映画のフィルム・ノワールのような作品。
石井輝男監督は時折、このようにスタイリッシュな映画を作る。
ダークな雰囲気に白黒映画がバッチリ合っている。
主演の天知茂が演じる無頼のルポライターが格好良すぎる。
三ツ矢歌子が若くてフィーチャーされがちだが、あくまで三原葉子がヒロインである。
しかし、天知茂と三ツ矢歌子の先輩後輩関係は強く、新東宝倒産後も「明智小五郎」シリーズなどドラマでの共演が多かった。

 

キャスト

天知茂  町田広二
細川俊夫  鳥井五郎
三原葉子  麻耶
三ツ矢歌子  美沙子
大友純  橘祐吉
吉田昌代  黒木蘭子
魚住純子  佐野兼子
守山竜次  泰造
鳴門洋二  サブ
宗方祐二  ジョー

 

 

スタッフ

製作 大蔵貢
企画  佐川滉
脚本、監督  石井輝男
脚本  宮川一郎
撮影  吉田重業
音楽  渡辺宙明

 

ストーリー

トップ屋(週刊誌のトップを飾る記事を書くフリーのルポライター)の広二は、売春禁止法で非合法となった組織を追っている。女易者に教えられ、旅館でポン引きに女性ダンサーを紹介される。そこで睡眠薬を飲まされ、目覚めた時には女は殺されていた。いずれ容疑者になることは間違いない。

「踊り子殺人事件」と新聞が報じられ、町田のライバルであるルポライターの鳥井が動き出した。町田は旅館の女中をに話を聞こうとした時、女は轢き逃げされるが、あの夜の男はサブだったと言い残す。
捜査で女の体内から麻薬が検知される。鳥井は、警察で通報した声を町田と確認した。
町田は、街で拾った麻薬常用者からサブが新宿にいると教えられる。町田はサブに逃げられるが、マネキン工場で麻耶という女と知り合う。彼女は、横浜の海軍キャバレーの女給に会えと言った・・・。

町田は、横浜のキャバレーへ行く途中で、美沙子という高校生と出会う。彼女は、人形屋のアルバイトをしていた。町田は、マネキンに麻薬が隠されていると知り、麻耶に迫る。鳥井がかけつけ、町田を警察に突き出すと言った。町田は、同業のよしみで二日間の猶予をもらった。
町田は麻耶と二人で警察の追手をのがれるが、途中で麻耶がケガをし、一晩看病した。麻耶は、知っていることを町田に告白した。残り時間のなくなった町田は、ギャングのボスが横浜のキャバレーにいることを聞き出した。彼はキャバレーに行くが、美沙子が人質になっていた。そこから、町田の手荒い活躍でギャング団を退治する。麻耶は、町田に見送られながら自首する。

 

 

黒線地帯(くろせんちたい) 1960 新東宝製作・配給 石井照男監督と天知茂のフィルムノワール

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