(○)学生運動の終焉を描き、話題になった石川達三の原作を「太陽を盗んだ男」を監督した長谷川和彦が脚色して、ロマンポルノ界の鬼才神代辰巳が監督した名作青春映画
カラー映画で撮影は姫田真佐久
主演は萩原健一、桃井かおり
共演は、檀ふみ、河原崎健三、赤座美代子

雑感

今となっては、当時の萩原健一桃井かおりの演技が臭く感じてしまう。
でも、新人である檀ふみの水着姿は新鮮である。

学生運動に挫折した萩原健一は、結婚相手として家庭教師の教え子桃井かおりか、社長令嬢檀ふみとどちらかを選ばなければならなくなる。
この構造は、小説「アメリカの悲劇」とよく似ている。あるいはその映画化である「陽のあたる場所」(モンドメリー・クリフト、エリザベス・テイラー主演)にもそっくりである。

しかし、今どきの男は、なかなか結婚しないから、この悩みは分かるまい。

青春映画らしく、音楽は元スパイダーズの井上尭之が担当している。

キャスト

萩原健一  江藤賢一郎
桃井かおり  大橋登美子
檀ふみ  田中康子
河原崎建三  三宅浩一
赤座美代子  北条今日子
荒木道子  賢一郎の母悦子
高橋昌也   田中栄介
上月左知子  田中君子
森本レオ  小野精二郎
渥美國泰  安部教授
北浦昭義  フットボール部監督
加藤和夫  刑事
下川辰平  部長刑事
久米明  産婦人科医

スタッフ

製作  田中収
原作  石川達三
脚本  長谷川和彦
監督  神代辰巳
撮影  姫田真佐久
音楽  井上尭之

 

ストーリー

法学部学生である江藤賢一郎は、学生運動に挫折し、アメリカン・フットボール部のワイドレシーバーとして活躍している。伯父の田中栄介の援助を受けて学費をまかない、アルバイトに家庭教師もしていた。そして、司法試験に挑戦するつもりだ。
教え子の登美子が短大に合格して、お祝いに賢一郎とスキーに行く。その夜、二人は結ばれる。

賢一郎は伯父の家に招待され、娘康子と語らう。
彼は、第一次司法試験に合格する。
彼が登美子と歩行者天国を歩いていると、たまたま不良にからまれていた康子を助けた。それから、二人は急接近する。

やがて、賢一郎は第二、三次試験も合格した。いつのまにか彼は、康子と結婚する野望を抱いた。
ある日、賢一郎は登美子に康子との婚約を告げたが、登美子は妊娠五ヵ月と知らせた。賢一郎は、登美子を堕胎させようとするが産婦人科医師に断わられる・・・。

賢一郎は、登美子と春に行ったスキー場に来た。心中を登美子が提案する。しかし、賢一郎は登美子は絞殺する。そして、斜面に死体を埋める。

賢一郎は、フットボール部の試合に出場した。その場に、刑事が現れる。刑事は試合が終わるのを待った。賢一郎は逃げるように、ボールを追った。しかし、タックルを受けて地面に叩きつけられる。その時、首が音を立てて折れた。

 

 

 

 

 

 

青春の蹉跌 1974 東宝東京=渡辺プロ製作 東宝配給 – 萩原健一・桃井かおりコンビによる名作青春映画

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